8.感染症

ソトロビマブ(VIR-7831)の作用機序【COVID-19】

2021年9月6日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」を対象疾患とする抗体療法の「ソトロビマブ(開発コード:VIR-7831)」の製造販売承認申請が行われました!特例承認を想定しているとのことです。

グラクソ・スミスクライン|申請のニュースリリース

基本情報

製品名??海外では「Xevudy」
一般名ソトロビマブ(開発コード:VIR-7831)
製品名の由来
製造販売グラクソ・スミスクライン(株)
効能・効果SARS-CoV-2による感染症?
用法・用量単回の点滴静注?
薬価国が買い取って医療機関に提供するため、薬価収載されない?

 

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2:Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2)に対する初の治療薬としてはベクルリー(レムデシビル)オルミエント(バリシチニブ)、ロナプリーブ(カシリビマブ/イムデビマブ)に次ぐものですね!

ロナプリーブ点滴静注(カシリビマブ/イムデビマブ)の作用機序【COVID-19】

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木元 貴祥
抗体薬としてはロナプリーブに次いで2製品目となります。既に米国では緊急使用が許可されていて、オーストラリアでは通常承認されていますね。

 

ちなみに対象症例は「酸素療法を必要としない軽症・中等症かつ重症化リスクが高いと考えられる患者」と想定されていますので、ロナプリーブとほぼ同様だと思われます。

治療選択肢が増えるのは朗報です!

 

今回は新型コロナウイルスの基本的な解説と共に、ソトロビマブの作用機序・エビデンスについて解説していきます!

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とは

2019年末頃、中国の中国湖北省武漢市を中心に原因不明の肺炎ウイルスが発生しました。

 

その後、数カ月で日本を含む全世界にパンデミックを引き起こした原因ウイルスが「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」です。このウイルスによって引き起こされる疾患名として、世界保健機関(WHO) は正式名称を「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)」と発表しました。

「COVID-19」の読み方:コヴィッド・ナインティーン

 

木元 貴祥
ウイルス名がSARS-CoV-2、疾患名がCOVID-19ですね。たまに混同してしまいます(笑)

 

SARSサーズ(Severe acute respiratory syndrome coronavirus:重症急性呼吸器症候群)と言えば、2003年頃に中国を中心に流行したウイルス感染症で、この原因もコロナウイルス(SARS-CoV)でしたね。今回の新型コロナウイルスもSARS-CoVと似ていることからSARS-CoV-2と名付けられています。

 

 

症状としては無症状から風邪様症状(発熱、倦怠感、咳、味覚異常)が多く、重症化することはあまりありません。

しかし、一部、肺炎・呼吸困難・血栓症等、重症化することもあり、特に高齢者や基礎疾患(例:糖尿病心不全COPD等の呼吸器疾患)を持っている方では重症化のリスクが高いと言われています。

 

重症化の可能性や世界的なパンデミックにより、日本においてCOVID-19は2020年1月に感染症法に基づく「指定感染症」及び検疫法に基づく「検疫感染症」に指定されました。

【参考】内閣官房|新型コロナウイルス感染症の指定感染症等への指定について

 

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の増殖メカニズム

コロナウイルスの外観は「コロナ(太陽の光冠)」に似ていることからその名前が付けられています。

分類としては「一本鎖プラス鎖RNAウイルス」で、RNAをゲノムとしているウイルスですね!主にヒトの粘膜上皮細胞に感染します。

 

木元 貴祥
ウイルスの分類・・・いくつかありますが覚えていますか??特徴と代表例はこんな感じですね。1)

 

ちなみに、アデノ随伴ウイルスの仕組みを用いた治療法なんかもありますね。

ゾルゲンスマ(オナセムノゲンアベパルボベク)の作用機序・特徴【脊髄性筋委縮症】

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プラス鎖というのはゲノムそのものがmRNAとして働くことが可能なもの、マイナス鎖というのはゲノムを鋳型として一旦mRNAを作るものを言います。

 

SARS-CoV-2はプラス鎖の一本鎖RNAウイルスですので、ゲノム自体がmRNAとして働き、ヒト細胞内に侵入するとすぐにウイルスタンパク質の合成が始まりますね。

 

SARS-CoV-2がヒトの粘膜上皮細胞に感染する場合、以下の図のようなプロセスで感染・増殖します。

  1. 吸着・膜融合・脱殻:ヒト細胞内に入る
  2. ゲノム(RNA)の複製とタンパク質合成:ヒト細胞内で増える
  3. 細胞からの遊離:ヒト細胞外へ出て、他の細胞に感染する

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染・増殖メカニズム

 

上記②のRNAの複製過程では、「RNA依存性RNAポリメラーゼ(別名:レプリカーゼ)」と呼ばれるウイルスタンパク質が中心を担っていて、これを阻害するのがベクルリー(一般名:レムデシビル)です。

ベクルリー(レムデシビル)の作用機序・副作用【COVID-19】

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ここでは「①吸着」を詳しく見ていきましょう。

SARS-CoV-2の膜には「スパイクタンパク質」が存在していて、吸着に関与しているのはその中のRBD(receptor binding domain)と呼ばれる部位です。

RBDがヒト細胞膜にあるACE2受容体と結合することで、SARS-CoV-2が吸着・侵入していきます。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のRBD(receptor binding domain)がヒトのACE2受容体と結合することで吸着・侵入が引き起こされる

 

ちなみに、スパイクタンパク質を標的にしたmRNAワクチンも2021年に承認されていますね。

コミナティ、バキスゼブリア、モデルナの作用機序【新型コロナウイルスワクチン】

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ソトロビマブの作用機序:保存されたRBDの選択阻害

ソトロビマブはSARS-CoV-2のRBDに対するモノクローナル抗体のため、RBDとACE2受容体との結合が抑制されることで増殖抑制効果を発揮すると考えられています。2)

また、標的としているRBDは保存されている(=変異が起こりにくい)領域のため、変異株に対しても効果が期待されています。2)

ソトロビマブの作用機序:保存されたRBDの選択阻害

 

木元 貴祥
変異株に対しても効果が期待できるのは良い点ですね!

 

また、類薬のロナプリーブも同様の作用機序を有しています。

ロナプリーブ点滴静注(カシリビマブ/イムデビマブ)の作用機序【COVID-19】

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エビデンス紹介:COMET-ICE試験

根拠となった臨床試験はCOMET-ICE試験ですが、現時点で論文等では公表されていません。

結果の概要はニュースリリース3)に掲載されていて、重症化リスクの高い軽症から中等症のCOVID-19の成人患者さんにおいて、主要評価項目の入院または死亡のリスクが有意に低下することが示されたとのことです(補正相対リスク減少が79%, p<0.001)。

 

公表され次第、追記予定です!

 

副作用

後日更新予定です。

 

用法・用量

後日更新予定です。海外では30分以上かけて単回の点滴静注とされていました。

 

重症化リスク因子の目安

重症化リスク因子については、その代表的な例として、

  1. 承認審査での評価資料となった第Ⅲ相試験(COMET-ICE試験)の組み入れ基準
  2. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き4)
  3. 米国の緊急使用許可(EUA)において例示されている重症化リスク因子

が想定されています。

 

類薬のロナプリーブとほぼ同様だと考えられますが、正式承認後に更新予定です。参考までにCOVID-19診療の手引きでは以下の通りです4)

  • 65 歳以上の高齢者
  • 悪性腫瘍
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 慢性腎臓病
  • 2型糖尿病
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 肥満(BMI 30 以上)
  • 喫煙
  • 固形臓器移植後の免疫不全
  • 妊娠後期

 

まとめ・あとがき

ソトロビマブはこんな薬

  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗体療法
  • ウイルスのRBDに結合することで、ヒト細胞への侵入を抑制する
  • 重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者さんが対象

 

これまでCOVID-19の治療薬はベクルリーやオルミエントがあるものの、対象は中等度から重症の患者さんに限られていました(ベクルリーは中等症から使用可能ですが、供給の問題で重症例に限られている)。

ベクルリー(レムデシビル)の作用機序・副作用【COVID-19】

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その後、ロナプリーブが特例承認され、ようやく軽症から中等症の患者さん(重症化リスクを有する場合)に使用できるようになりました。しかしながら、全員に効果があるわけではないため、新たな治療選択肢が望まれています。

 

木元 貴祥
ソトロビマブによって治療選択肢が増えるのは朗報だと思います!

 

国内で使用可能なワクチンについては以下の記事でまとめていますので、併せてご参考くださいませ♪

コミナティ、バキスゼブリア、モデルナの作用機序【新型コロナウイルスワクチン】

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以上、今回は新型コロナウイルスの基本的な解説と共に、ソトロビマブの作用機序について解説しました!

 

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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