7.炎症・免疫・アレルギー

タブネオス(アバコパン)の作用機序【多発血管炎性肉芽腫症】

タブネオス(アバコパン)の作用機序【多発血管炎性肉芽腫症】

2021年9月6日、厚労省の薬食審・医薬品第二部会にて「多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症」を対象疾患とするタブネオス(アバコパン)の承認が了承されました!

キッセイ薬品工業|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名タブネオスカプセル10mg
一般名アバコパン
製品名の由来
製造販売キッセイ薬品工業(株)
効能・効果顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症
用法・用量通常、成人にはアバコパンとして1回30mgを
1日2回朝夕食後に経口投与する。
収載時の薬価

 

補体C5a受容体を選択的に阻害するといった初の作用機序を有する薬剤ですね!

 

多発血管炎と多発血管炎性肉芽腫症は共に難病に指定されていて、治療選択肢が少ない現状です。まとめてANCA関連血管炎とも呼ばれます。

 

今回は代表として多発血管炎性肉芽腫症の疾患解説と共に、タブネオス(アバコパン)の作用機序とエビデンスについて解説します。

 

多発血管炎性肉芽腫症と症状

以前はウェゲナー肉芽腫症と称されていた疾患ですね。

全身や肺・腎の血管炎を呈する疾患で、上気道症状、肺症状、腎炎、全身症状の順に症状が引き起こされると考えられています。1)

  1. 上気道症状:膿性鼻漏、鼻出血、鞍鼻、中耳炎、視力低下、咽喉頭潰瘍など
  2. 肺症状:血痰、呼吸困難など
  3. 急速進行性腎炎
  4. 全身症状:紫斑、多発関節痛、多発性単神経炎など

 

上記1~3の全ての症状が発現している場合は「全身型」、いずれか2つの症状のみの場合は「限局型」と呼んでいます。

 

原因:ANCAと補体C5a

上気道の細菌感染をきっかけに発症することや、細菌感染により再発がみられることが多いと言われていますが、明確な発症原因は不明です。

ただ、その発症機序には抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)が関与しているため、ANCAの測定を行うことで概ね診断が可能です。

 

木元 貴祥
ではANCAとそれに関連する補体について詳しくみていきましょう。

 

補体(Complement)とは、生体が病原菌などを排除する際に、抗体抗原反応などを補助する免疫システムです。

補体にはいくつかの種類があり、C1~C9で表されます。

 

詳細は割愛しますが、免疫が活性化する際に、「レクチン経路」、「古典的経路」、「第二経路」と呼ばれる経路によって、補体の「C3」が産生・活性化されます。

この補体C3は、補体C5を「C5a」と「C5b」に分解します。

多発血管炎性肉芽腫症における補体活性化の経路

 

特に補体C5aは血栓や炎症に関わるもののため、多発血管炎性肉芽腫症において重要です。

 

さて、補体C5aはその後、好中球の細胞膜上にあるC5a受容体に結合します。そうすると、好中球の細胞内に存在していたミエロペルオキシダーゼ(MPO)や プロテイナーゼ3(PR3)が細胞膜表面まで移動していきます。

このMPOやPR3を標的とする自己認識抗体がANCAです。好中球細胞膜表面のMPO・PR3とANCAが結合することで、更に好中球は活性化され、血管内皮細胞を傷害していきます。

 

木元 貴祥
結果、多発血管炎性肉芽腫症の発症や病状進行に関与していくと考えられていますね。

 

治療

従来は予後不良の疾患でしたが、早期発見と治療によって寛解導入率は向上してきました。

標準治療となるのは、副腎皮質ステロイドとシクロホスファミドの併用療法です。場合によってはスルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST)合剤を併用する場合もあります。1)

 

また、難治例に対しては抗CD20抗体薬のリツキサン(リツキシマブ)が用いられることもありますね。

 

今回ご紹介するタブネオスは標準治療である副腎皮質ステロイドと非劣性が証明されているため、ステロイドと取って代わる可能性のある薬剤です!

 

タブネオス(アバコパン)の作用機序:C5a受容体遮断薬

タブネオスは好中球の細胞膜上にある補体C5a受容体の選択的阻害(遮断)薬です。

補体C5aが好中球と結合できなくなるため、MPOやPR3は表面に移動できなくなります。その結果、ANCAが好中球に結合できなくなり、好中球の活性化が抑制されると考えられています。

タブネオス(アバコパン)の作用機序:C5a受容体遮断薬

 

木元 貴祥
好中球の活性化が抑制されれば、ANCAの症状緩和や進行抑制に繋がりますね!

 

エビデンス紹介:ADVOCATE試験

根拠となった臨床試験(ADVOCATE試験)をご紹介します。2)

本試験はANCA関連血管炎の患者さんを対象に、タブネオスまたはプレドニゾンを直接比較した国際共同第Ⅲ相試験です(日本含む)。全例がシクロホスファミド(続いてアザチオプリン)またはリツキシマブが併用されていました。

 

主表評価項目は「26週時点の寛解率*(非劣性を検証)」と「52週時点の持続的寛解率*」とされ、結果は以下の通りでした。

タブネオス群プレドニゾン群
26週時点の寛解率72.3%70.1%
非劣性のP<0.001
優越性のP=0.24
52週時点の持続的寛解率65.7%54.9%
非劣性のP<0.001
優越性のP=0.007
重篤な有害事象
(血管炎の悪化を除く)
37.3%39.0%

*寛解率:バーミンガム血管炎活動性スコア(BVAS)が0かつ、直近の4週間にグルココルチコイド使用歴がないことと定義

 

26週時点の寛解率については、これまで標準治療であったプレドニゾンに対して、タブネオスの非劣性が証明されています!また、52週時点での持続的な寛解率はタブネオスで有意に高い結果でした。

 

木元 貴祥
重篤な有害事象の頻度も大差ないため、標準治療が変わる可能性がありますね!

 

用法・用量

通常、成人にはアバコパンとして1回30mgを1日2回朝夕食後に経口投与します。

 

副作用

後日更新予定です。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ

タブネオスはこんな薬

  • 補体C5a受容体の選択的遮断薬
  • 好中球にANCAが結合できなくなり、好中球の活性化を抑制させる
  • 標準治療であったプレドニゾンに対して非劣性が証明されている

 

多発血管炎と多発血管炎性肉芽腫症は共に治療選択肢が少ないため、新たな治療が望まれていました。

副作用の観点から副腎皮質ステロイドが適用しずらいこともあるため、タブネオスによって治療選択肢が増えることは朗報ではないでしょうか。

 

異常、今回は多発血管炎性肉芽腫症の疾患解説と共に、タブネオス(アバコパン)の作用機序とエビデンスについて解説しました!

 

参考資料・文献等

  1. 難病情報センター:多発血管炎性肉芽腫症(指定難病44)
  2. ADVOCATE試験:N Engl J Med 2021; 384:599-609

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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