5.内分泌・骨・代謝系 7.炎症・免疫・アレルギー

サイバインコ(アブロシチニブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎】

2021年9月6日、厚労省の薬食審医薬品第二部会にて「アトピー性皮膚炎」を対象疾患とするサイバインコ(アブロシチニブ)の承認が了承されました!

ファイザー|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名サイバインコ錠50mg/100mg/200mg
一般名アブロシチニブ
製品名の由来
製造販売ファイザー(株)
効能・効果既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎
用法・用量通常、成人及び12 歳以上の小児には、
アブロシチニブとして100mgを1日1回経口投与する。
なお、患者の状態に応じて200mgを1日1回経口投与することができる。
収載時の薬価

 

新規の経口JAK阻害薬ですね。

 

木元 貴祥
特にJAK1を選択的に阻害します。

 

アトピー性皮膚炎に使用する経口のJAK阻害薬としては以下に次いで3製品目となる見込みですね。

 

ちなみに、リンヴォックとサイバインコは12歳以上の小児に使用可能です!

 

既に関節リウマチや乾癬領域では経口JAK阻害薬の5製品が承認・販売されています。また、アトピー性皮膚炎では初の外用JAK阻害薬のコレクチム軟膏(デルゴシチニブ)も承認されていますね。

コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎】

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今回はアトピー性皮膚炎とサイバインコ(アブロシチニブ)の作用機序とエビデンスについてご紹介します☆

 

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られる皮膚の炎症を伴う疾患です。

 

主な症状は「湿疹」と「かゆみ」で、良くなったり悪くなったりを繰り返し、なかなか治らなく、慢性的であるのとが特徴です。

具体的には、赤みがある、じゅくじゅくして引っかくと液体が出てくる、ささくれだって皮がむける、長引くとごわごわ硬くなって盛り上がる、などがあります。

 

部位としては、おでこ、目のまわり、口のまわり、耳のまわり、首、わき、手足の関節の内側などに出やすいとされており、左右対称に発現することもあります。

 

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎は、皮膚症状の状態によって、軽微、軽症、中等症、重症の4段階に分けられており、それぞれによって治療法が異なります。

 

治療の基本は以下の3つがありますが、最も中心となるのは薬物療法です。1)

  1. 薬物療法:ステロイド外用薬を中心とした治療
  2. スキンケア:日頃から皮膚を清潔に保ち、保湿状態を保つ
  3. 原因・悪化因子の除去:炎症の原因となる物質・因子を取り除く

 

ステロイド外用薬は「最強」「とても強い」「強い」「弱め(ミディアム)」「弱い」という5段階がありますが、アトピー性皮膚炎の重症度に応じて、それぞれ使い分けられています。

その他には、かゆみを抑えるために、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を内服することもあります。

 

最近では新たな外用薬の新薬も登場してきました。

モイゼルト軟膏(ジファミラスト)の作用機序【アトピー性皮膚炎】

続きを見る

 

一方で、外用薬等では改善が認められないこともしばしばあり、ステロイド薬の内服や免疫抑制薬(シクロスポリン)の内服の他、抗IL-4受容体α(IL-4Rα)抗体薬のデュピクセント(一般名:デュピルマブ)が行われることもあります。

デュピクセント(デュピルマブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎/気管支喘息/副鼻腔炎】

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サイバインコを含む経口JAK阻害薬も外用薬等で改善が認められない場合に使用可能です!

 

アトピー性皮膚炎の原因:マクロファージやTh2細胞による炎症

アトピー性皮膚炎の明確な発症原因は不明確ですが、

  • 家族歴・既往歴
  • 外的要因
  • 環境要因(ストレス、食生活、肥満等)

などによって、炎症反応が引き起こされることで発症すると考えられています。

 

様々な原因によって、マクロファージやTh2細胞(ヘルパーT細胞の一種)からTNFα、IL-4、IL-6、IL-13、IL-22などのサイトカイン・ケモカインや化学伝達物質が放出され、これが作用することで痒みを誘発すると考えられています。1)

 

サイバインコ(アブロシチニブ)の作用機序

炎症性サイトカインであるTNFαやIL-6、IL-2等が炎症を引き起こす際、それらが各受容体に結合して刺激が核に伝えられます。

 

各受容体には「ヤヌスキナーゼ(JAKジャック」と呼ばれるタンパク質が付随していて、JAKを介してシグナルが核へと届けられます。

 

核内に刺激が到達すると、炎症反応が引き起こされ、関節リウマチや乾癬が進行してしまいます。

 

JAKにはJAK1~3までありますが、特にTNFαやIL-6の作用する受容体はJAK-1が関与していることが知られています。

 

サイバインコはJAKの中でもJAK1を選択的に阻害する薬剤です。

 

JAK1を阻害することで、TNFαやIL-6による刺激が核に伝わるのを遮断して炎症を抑え、アトピー性皮膚炎の進行を抑制すると考えられています。

サイバインコ(アブロシチニブ)の作用機序:JAK1阻害薬

 

エビデンス紹介:JADE開発プログラム

根拠とされたのは7つの第Ⅲ相試験からなるJADE(JAK1 Atopic Dermatitis Efficacy and Safety)開発プログラムとのことです。

  • JADE MONO-1試験2)
  • JADE MONO-2試験3)
  • JADE COMPARE試験4)
  • JADE TEEN試験5)
  • JADE REGIMEN試験
  • JADE EXTEND試験
  • JADE DARE試験

 

この中でも代表として、デュピクセント(デュピルマブ)またはプラセボと比較したJADE COMPARE試験4)についてご紹介します!

 

本試験は局所治療薬だけでは改善しない中等症から重症の成人アトピー性皮膚炎患者さんを対象に、サイバインコ(100mgまたは200mg)とデュピクセントとプラセボを比較した国際共同第Ⅲ相試験です。

主表評価項目は治療開始から12週時点における「IGA達成率」と「EASI-75達成率」とされ、結果は以下の通りでした。

サイバインコ
100mg
サイバインコ
200mg
デュピクセントプラセボ
IGA達成率36.6%48.4%36.5%14.0%
プラセボとの差
p<0.0001
プラセボとの差
p<0.0001
--
EASI-75達成率58.7%70.3%58.1%27.1%
プラセボとの差
p<0.0001
プラセボとの差
p<0.0001
--

IGA達成率:IGA(包括的重症度評価)スコアが0又は1かつベースラインから2点以上減少を達成した患者さんの割合

EASI-75達成率:EASIスコアがベースラインから75%以上改善した患者さんの割合

 

サイバインコとプラセボの差を検証することを目的としていたため、いずれの用量においても有意な改善が認められていますね!デュピクセントとの直接的な有意差検定は行われていませんので、数値は参考程度です。

 

また、副次評価項目として2週時点の「掻痒反応達成率」の結果は以下の通りでした。

サイバインコ
100mg
サイバインコ
200mg
デュピクセントプラセボ
掻痒反応達成率31.8%49.1%26.4%13.8%
プラセボとの差
p<0.0001
プラセボとの差
p<0.0001
--
デュピクセントとの差
p=0.20
デュピクセントとの差
p<0.001

 

サイバインコ200mg群ではデュピクセントと比較して有意な改善が認められているのは大きな点かと思います。

 

木元 貴祥
薬剤の使い分けのヒントになりそうですね。

 

用法・用量

通常、成人及び12 歳以上の小児には、アブロシチニブとして100mgを1日1回経口投与します。

患者の状態に応じて200mgを1日1回経口投与することができる。

 

副作用

後日更新予定です。

他の経口JAK阻害薬同様、重篤な感染症には注意が必要だと思われます。

 

他のJAK阻害薬一覧

関節リウマチや他疾患に使用するJAK阻害薬の7製品を以下の記事で比較・一覧表を作成していますので、是非ご参考くださいませ。

JAK阻害薬の一覧表(経口6製品・外用1製品)と作用機序のまとめ

続きを見る

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ

サイバインコはこんな薬

  • JAK1を選択的に阻害するJAK阻害薬
  • 1日1回の経口投与
  • 重篤な感染症には注意が必要

 

アトピー性皮膚炎では3製品目の経口JAK阻害薬です!JAK阻害薬同士の使い分けもキニナルところですので今後の検討を期待したいと思います。

 

同じ治療ラインで使用する注射剤のデュピクセント(デュピルマブ)と直接比較したJADE COMPARE試験の結果は、薬剤を使い分ける上で重要ではないでしょうか。

デュピクセント(デュピルマブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎/気管支喘息/副鼻腔炎】

続きを見る

 

以上、今回はアトピー性皮膚炎に使用するJAK阻害薬のサイバインコ(アブロシチニブ)についてご紹介しました!

 

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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