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タズベリク(タゼメトスタット)の作用機序【悪性リンパ腫】

2021年5月28日、厚労省の薬食審医薬品第二部会にて、「濾胞性リンパ腫」を対象疾患とするタズベリク錠(タゼメトスタット)の承認が了承されました!

エーザイ|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名タズベリク錠200mg
一般名タゼメトスタット臭化水素酸塩
製品名の由来
製造販売エーザイ(株)
効能・効果再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性の
濾胞性リンパ腫(標準的な治療が困難な場合に限る)
用法・の量通常、成人にはタゼメトスタットとして1回800mgを1日2回経口投与する。
なお、患者の状態により適宜減量する。
収載時の薬価薬価未収載

 

国内初のEZH2阻害薬に分類されていて、エピジェネティクス関連タンパク質に作用する薬剤です!

 

木元 貴祥
エピジェネティクス・・・・なんのこっちゃって感じですよね(笑)

 

エピジェネティクスと共に、濾胞性リンパ腫とタズベリク(タゼメトスタット)の作用機序について解説していきます!

 

エピジェネティクスとは

通常、体内のタンパク質発現は遺伝子配列(DNA配列)によって制御されています。しかし、目の細胞と肝臓の細胞、DNA配列は同じでも発現しているタンパク質は全く異なりますよね?

 

このように、DNA配列以外でタンパク質の発現を制御しているのがエピジェネティクスと呼ばれるシステムです。ちなみに、ジェネティクスは「遺伝学」、エピは「上に」という意味。つまり遺伝子情報の上にさらに修飾されたもの、という意味合いでしょうか。

 

具体的にはDNAはヒストンと呼ばれるタンパク質に巻き付いて存在していますが、ヒストンが緩んだ状態では遺伝子の転写が活性化され、タンパク質の発現量が増えます。しかし、ヒストンが凝集した状態では遺伝子の転写が行われず、タンパク質の発現も抑制されています。1)

エピジェネティクスとヒストン:遺伝子発現のコントロール

 

木元 貴祥
ヒストンの凝集や緩みに関与しているのがエピジェネティクス関連タンパク質というわけです。

 

通常、体内にはがん細胞の発生を抑制するため、がん抑制遺伝子・タンパク質が存在しています。しかし、エピジェネティクス関連タンパク質に異常があると、上手くがん抑制遺伝子・タンパク質が合成されなくなり、がんの発生や増殖に関与することが知られています。

 

濾胞性リンパ腫とは

濾胞性リンパ腫は、悪性リンパ腫の種類の1つに分類されている血液腫瘍で、リンパ球の中でも「B細胞」が腫瘍化して発生します。

進行は比較的遅く、「低悪性度」に分類されています。

 

疫学的には、悪性リンパ腫の約15~20%を占めていて、近年増加傾向です。

 

木元 貴祥
特に高齢者に多いと言われていますね。

 

また、腫瘍化したB細胞のうち、7%~27%にEZH2(enhancer of zeste homolog 2)遺伝子の変異があることが知られています。

EZH2遺伝子に変異があると、エピジェネティクス関連タンパク質であるEZH2が過剰となり、ヒストンの凝集が促進されます。その結果、B細胞の正常分化に必要なタンパク質が合成されなくなり、がんが発生・増殖するといったメカニズムです。

EZH2遺伝子異常とエピジェネティクス

 

濾胞性リンパ腫の治療

早期の場合には、腫瘍細胞が凝集しているリンパ節部位への放射線照射が行われることが多いです。

放射線が難しい患者さんでは、経過観察で様子を見ることも行われます。

 

一方、進行している場合、抗がん剤や分子標的薬の併用による化学療法が基本です。2)

主には以下のような併用療法が標準的に用いられていました。

 

最近では、B細胞によく発現しているCD20を標的としたガザイバ(オビヌツズマブ)が使用されることもありますね。

ガザイバ(オビヌツズマブ)の作用機序と副作用【悪性リンパ腫】

続きを見る

 

タズベリク(タゼメトスタット)の作用機序

タズベリクは過剰に発現しているEZH2を選択的に阻害する薬剤です。

エピジェネティクスに関与しているEZH2が阻害されることで、B細胞の正常分化が促され、同時にがん抑制遺伝子・タンパク質の発現量も増えることからがん細胞の増殖抑制効果が得られると考えられています。3)

タズベリク(タゼメトスタット)の作用機序:EZH2阻害薬(経口投与可能)

 

エビデンス紹介:海外の第Ⅱ相試験

根拠となった臨床試験は海外で行われた第Ⅱ相試験4)と、国内の第Ⅱ相試験です。

  • 海外第Ⅱ相試験:EZH2変異有無を問わない再発・難治性濾胞性リンパ腫を対象
  • 国内第Ⅱ相試験:EZH2変異陽性の再発・難治性濾胞性リンパ腫を対象

 

参考までに海外第Ⅱ相試験では、EZH2変異陽性のコホートにおいて、客観的奏効率は69%、奏効期間中央値は10.9か月と良好な成績が報告されていますね!

 

副作用

後日更新予定です。

 

用法・用量

通常、成人にはタゼメトスタットとして1回800mgを1日2回経口投与します。

患者の状態により適宜減量

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

タズベリクはこんな薬

  • 国内初の経口EZH2阻害薬
  • エピジェネティクスに関与しているEZH2を阻害することでがん細胞の増殖を抑制する

 

濾胞性リンパ腫はまだまだ治療選択肢が限られているため、新たな治療法が登場することは朗報ではないでしょうか。

 

以上、今回は少し難しかったかもしれませんが、エピジェネティクスとそれに関与しているタズベリク(タゼメトスタット)の作用機序について解説しました!

 

引用文献・資料等

  1. 国立がん研究センター 研究所|エピジェネティクスとは?
  2. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版 第2版
  3. Leuk Lymphoma. 2018 Jul;59(7):1574-1585.
  4. Lancet Oncol. 2020 Nov;21(11):1433-1442.

 

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木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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