新薬承認・薬価収載

【第一部会:期待の新薬】9製品+2製品(2021年2月25日)

2021年2月25日、厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会は新薬として10製品の審議を行い、うち9製品の承認を了承しました。

慢性心不全治療薬で初の可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬であるベリキューボ錠(一般名:ベルイシグアト)は残念ながら次回に継続審議とされています。

ベリキューボ(ベルイシグアト)の作用機序【心不全】

続きを見る

 

木元 貴祥
臨床的位置付けや臨床試験結果の解釈等で疑義が残ったそうですね。。

 

その他、報告のみで承認了承された2製品もあります。

 

今回は概略についてご紹介です♪

 

審議品目:9製品

●イスツリサ錠1mg、同錠5mg(一般名:オシロドロスタットリン酸塩)
:「クッシング症候群」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

イスツリサ(オシロドロスタット)の作用機序【クッシング症候群】

続きを見る

 

クッシング症候群で過剰となったいるコルチゾールの合成阻害薬ですね。

 

●オスタバロ皮下注カートリッジ3mg(一般名:アバロパラチド酢酸塩)
:「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

【骨粗鬆症】PTH製剤一覧:オスタバロ・テリボン・フォルテオ

続きを見る

 

新規の副甲状腺ホルモン(PTH)製剤ですね。類薬にはフォルテオやテリボンがありますので、上記の記事でまとめて解説しています。

 

木元 貴祥
オスタバロの最大投与期間は1年半までとのこと。

 

●イズカーゴ点滴静注用10mg(一般名:パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え))
:「ムコ多糖症II型」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

独自技術の「J Brain Cargo」によって、BBB(血液脳関門)を通過させることを可能とした薬剤です!

これまでBBBによって中枢神経系へ作用する薬剤の開発は困難でしたが、新たな技術によって効率的に中枢神経内へ移行することが可能です。すごいですねぇ~!

 

●リオナ錠250mg(一般名:クエン酸第二鉄水和)
:「鉄欠乏性貧血」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

 

●レコベル皮下注12μgペン、同皮下注36μgペン、同皮下注72μgペン(一般名:ホリトロピン デルタ(遺伝子組換え))
:「生殖補助医療における調節卵巣刺激」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

木元 貴祥
不妊治療に用いる新規の遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン(r-hFSH)製剤ですね。

 

●ヴォリブリス錠2.5mg(一般名:アンブリセンタン)
:「肺動脈性肺高血圧症」の効能・効果について、8歳以上の小児に使えるようにする新用量医薬品。

【肺動脈性高血圧症】エンドセリン受容体拮抗薬の作用機序と一覧・使い分け

続きを見る

 

エンドセリン受容体拮抗薬の中では、トラクリア錠(一般名:ボセンタン)に次いで2製品目の小児適応となる見込みです。

 

●ロナセン錠2mg、同錠4mg、同錠8mg、同散2%(一般名:ブロナンセリン)
:「統合失調症」を効能・効果に対して小児適応を追加する新用量医薬品。

 

木元 貴祥
統合失調症では初の小児適応となります!

 

●ユプリズナ点滴静注100mg(一般名:イネビリズマブ(遺伝子組換え))
:「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ユプリズナ(イネビリズマブ)の作用機序【NMOSD】

続きを見る

 

●ケシンプタ皮下注20mgペン(一般名:オファツムマブ(遺伝子組換え))
:「再発性の多発性硬化症(再発寛解型多発性硬化症と疾患活動性を有する二次性進行型多発性硬化症)」を効能・効果とする新投与経路、新効能医薬品。

 

有効成分のオファツムマブは既に製品名アーゼラ点滴静注として、慢性リンパ性白血病(CLL)に使用されています。今回はオファツムマブの皮下注製剤で、適応は多発性硬化症となります。

 

報告品目:2製品

●インスリンアスパルトBS注ソロスターNR「サノフィ」、同BS注カートNR「サノフィ」、同BS注100単位/mL NR「サノフィ」(一般名:インスリンアスパルト(遺伝子組換え)[インスリンアスパルト後続1]):「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能・効果とするバイオ後続品(バイオシミラー:BS)。

 

木元 貴祥
ノボラピッドの初のBSですね!サノフィがノボのBSを開発するとは数年前では予想がつきませんでした(笑)

 

●コレクチム軟膏0.25%、同軟膏0.5%(一般名:デルゴシチニブ)
:「アトピー性皮膚炎」を効能・効果に対して小児用量が追加されました。それに伴い、0.25%製剤が追加。

コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎】

続きを見る

 

コレクチムは初の外用JAK阻害薬として登場しましたが、今回、2歳以上16歳未満の小児への適応拡大が了承されました。

 

あとがき

今回注目していたのは慢性心不全治療薬のベリキューボ錠(一般名:ベルイシグアト)でしたが、残念ながら次回に継続審議とされました。

ベリキューボ(ベルイシグアト)の作用機序【心不全】

続きを見る

 

確かに臨床試験の結果を見ると、最近承認された他剤と比べて見劣りしますが、そもそも対象が比較的重度の心不全患者さんを対象としているので、なんとも言えないところです。

近年では慢性心不全治療薬が相次いで承認・登場してきていますので、今後はベリキューボも治療選択肢に追加されることを期待しています!

 

以上、今回は2021年2月25日の薬食審・医薬品第一部会で承認了承された薬剤の概要についてご紹介しました♪

 

 

\ 新薬情報オンラインの運営者が執筆! /

本サイトが書籍化(オフライン化)して新発売

>>Amazonで立ち読み

新薬情報オンラインの更新情報をLINEで受け取ろう!

PASSMED公式LINE、はじめました。

友だち追加

失敗しない薬剤師の転職とは?

数多く存在する薬剤師専門の転職エージェントサイト

どこに登録したらいいのか悩むことも少なくありません。そんな転職をご検討の薬剤師さんに是非見ていただきたい記事を公開しました。

  • 新薬情報オンラインの薬剤師2名が実際に利用・取材!
  • 各サイトの特徴等を一覧表で分かりやすく掲載!
  • 絶対にハズレのない厳選の3サイトを解説!

上手に活用してあなたの希望・条件に沿った【失敗しない転職】を実現していただけると嬉しいです!

薬剤師の転職サイト3選|評判・求人特徴とエージェントの質を比較

続きを見る

 

日々の情報収集に最適

薬剤師の勉強・情報収集に役に立つ無料サイト・ブログ8選
  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

プロフィール・運営者詳細
お問い合わせ・仕事の依頼
私の勉強法紹介

-新薬承認・薬価収載
-