5.内分泌・骨・代謝系

イスツリサ(オシロドロスタット)の作用機序【クッシング症候群】

2021年2月25日、厚労省の薬食審医薬品第一部会にて「クッシング症候群」を対象疾患とするイスツリサ(オシロドロスタット)の承認が了承されました!

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名イスツリサ錠1mg/5mg
一般名オシロドロスタットリン酸塩
製品名の由来
製造販売レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン
効能・効果クッシング症候群
用法・用量通常、成人にはオシロドロスタットとして1 回1 mg を1 日2 回経口投与から開始する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、最高用量は1 回30 mgを1 日2 回までとする。
収載時の薬価薬価未収載

 

クッシング症候群は治療薬が少ないため、新たな選択肢として朗報ではないでしょうか。

 

今回はクッシング症候群(クッシング病)とイスツリサ(オシロドロスタット)の作用機序について解説していきます!

 

木元 貴祥
まずは生体内のコルチゾールのメカニズムについてです。

 

コルチゾール分泌のメカニズム

通常、我々の体内のホルモンバランスは様々な因子によって調整されています。

クッシング症候群やクッシング病で関与している「コルチゾール」は副腎で合成されるホルモンです。

 

コルチゾールの分泌は、脳下垂体で合成される「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)」によって促進されています。

コルチゾール分泌のメカニズム:ACTH

 

即ち、脳下垂体のACTH⇒副腎(皮質)⇒コルチゾールの分泌、といった流れで分泌量が調整されているということですね。

 

具体的な生合成経路ですが、コレステロールを基にして、こちらの図のようなプロセスで合成されていきます。

 

コルチゾールは最終的にはCYP11B1と呼ばれる酵素によって11-デオキシコルチゾールから変換されますね。

コルチゾールの生合成経路:コレステロール→プレグネノロン→11-デオキシコルチゾール

 

 

また、別経路では11-デオキシコルチコステロンからCYP11B2によってアルドステロンも合成されています。

アルドステロンは以下の記事でも解説していますが、高血圧の原因となる物質です。

ミネブロ(エサキセレノン)の作用機序・特徴:セララとの違い【高血圧】

続きを見る

 

クッシング症候群とクッシング病の違い

さて、ここは非常にややこしいのですが・・・・

クッシング症候群クッシング病の違いについて簡単に解説していきます。

 

何らかの原因でコルチゾールが過剰になった状態のことを「クッシング症候群」と呼んでいます。そのうち、ACTHの過剰分泌によってコルチゾールが過剰になっているものが「クッシング病」です。

  • クッシング症候群:コルチゾール過剰な状態の総称
    • クッシング病(70%):ACTH過剰によるコルチゾールの過剰分泌
    • その他の原因(30%):副腎腫瘍など

 

木元 貴祥
クッシング症候群の中にクッシング病が含まれているイメージですね!

 

クッシング病についてはそのほとんどが脳下垂体の良性腫瘍によりACTHが過剰分泌されています。詳しくは以下の記事で解説していますので是非ご覧ください。

シグニフォー(パアシレオチド)の作用機序【クッシング病】

続きを見る

 

一方、クッシング症候群はクッシング病の他、副腎腫瘍によって直接コルチゾールが過剰分泌されていることもあります。

 

症状としては、コルチゾールの過剰分泌による

  • 満月様顔貌(ムーンフェイス):むくんだ赤ら顔
  • 肥満
  • 高血圧(アルドステロンによる)
  • 糖尿病
  • 骨粗鬆症
  • うつ病

などがよく見られます。

 

前述のコルチゾールの生合成経路でもお示ししましたが、コルチゾールとアルドステロンの合成経路は似ているため、クッシング症候群やクッシング病では約半数に原発性アルドステロン症(高アルドステロン血症)を合併することもあるそうです。

 

木元 貴祥
なので高血圧も症状として現れるのですね。

 

治療

クッシング病の場合、ほとんどが脳下垂体の良性腫瘍が原因のため、基本は手術によって取り除く治療が行われます。

また、クッシング症候群では副腎自体の腫瘍があることもありますので、同じく手術によって取り除くのが基本です。

 

しかし、画像診断等で発見しずらかったり、脳の手術のため、手技が困難であったり、と手術ができないことも少なくありません。

 

今回ご紹介するイスツリサは、手術で効果不十分または手術が困難な場合に使用できる薬剤です!

 

イスツリサ(オシロドロスタット)の作用機序

イスツリサはコルチゾールの合成に関与しているCYP11B1を阻害する薬剤です!

 

CYP11B1が阻害されることで11-デオキシコルチゾールからコルチゾールへの変換が阻害され、コルチゾール量が減少するといった作用機序ですね。

イスツリサ(オシロドロスタット)の作用機序:CYP11B1とCYP11B2阻害

 

また、アルドステロン経路に関与しているCYP11B2阻害作用も有することから、アルドステロンの合成抑制作用も期待されています。

 

木元 貴祥
クッシング症候群では高アルドステロン症(高血圧など)の合併も少なくないため、理にかなった作用機序ですね!

 

エビデンス紹介:LINC 3試験

根拠となった臨床試験を一つご紹介します。1)

本試験は持続性または再発性のクッシング病患者さんを対象に、プラセボとイスツリサを比較する第Ⅲ相臨床試験です。

 

主要評価項目は「34週時点の正常コルチゾール値達成割合」とされ、結果は以下の通りでした。

プラセボ群イスツリサ群
34週時点の
正常コルチゾール値達成割合
29%86%
オッズ比13.7 [95%CI:3.7-53.4]
p<0.0001

 

プラセボと比較して有意に正常コルチゾール値が達成できていますね!

 

また、日本においてはクッシング病以外のクッシング症候群患者さんを対象にした第Ⅱ相試験も行われていた、結果は良好とのことでした。2)

 

副作用

後日更新予定です。

前述の臨床試験では悪心、頭痛、倦怠感、副腎機能不全、低コルチゾール症などが報告されていました。

 

用法・用量

通常、成人にはオシロドロスタットとして1回1mgを1日2回経口投与から開始します。

なお、患者さんの状態に応じて適宜増減可能ですが、最高用量は1回30mgを1日2回までとされています。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

イスツリサはこんな薬

  • クッシング症候群に対して使用する
  • CYP11B1を阻害することでコルチゾール値を低下させる

 

これまでクッシング症候群やクッシング病は治療選択肢が少なかったのですが、新たな治療選択肢の登場は朗報ですね!

 

以上、今回はクッシング症候群(クッシング病)とイスツリサ(オシロドロスタット)の作用機序・エビデンスについて解説しました。

 

引用文献・資料等

  1. LINC 3試験:Lancet Diabetes Endocrinol. 2020 Sep;8(9):748-761.
  2. 国内第Ⅱ相試験:Endocr J. 2020 Aug 28;67(8):841-852.

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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