8.感染症

トジナメラン(BNT162b2:mRNAワクチン)の作用機序【新型コロナウイルス】

2020年12月18日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」の予防を目的とする国内初のmRNAワクチンであるトジナメラン(開発コード:BNT162b2)の製造販売承認申請が行われました!

ファイザー|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

 

2019年末頃から中国を中心に世界的なパンデミックを引き起こした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2:Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2)に対する初のワクチンです。

既に海外では承認・緊急使用が許可されていますね。(一般名:Tozinameran)

 

「meran」はRNA医薬品の意味なので、トジナメラン(Tozinameran)は一般名だと思われます。

製品名は…商標登録で見つけた以下が候補??

  • コビュイティ
  • コビッティ
  • コビメルナ
  • コブメルナ
  • ルナコビ
  • ラナクコビ
  • コミナティ
  • コミルナシィ

 

木元 貴祥
皆さんはどれだと思いますかね?私は「コビメルナ」に1票!(笑)

 

海外に少し遅れ、国内でも申請されましたので、年度内にはもしかすると正式承認されるかもしれません!期待!

 

今回は今回は新型コロナウイルスの基本的な解説と共に、BNT162b2(mRNAワクチン)の作用機序・エビデンスについて解説していきます!

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とは

2019年末頃、中国の中国湖北省武漢市を中心に原因不明の肺炎ウイルスが発生しました。

 

その後、数カ月で日本を含む全世界にパンデミックを引き起こした原因ウイルスが「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」です。このウイルスによって引き起こされる疾患名として、世界保健機関(WHO) は正式名称を「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)」と発表しました。

「COVID-19」の読み方:コヴィッド・ナインティーン

 

木元 貴祥
ウイルス名がSARS-CoV-2、疾患名がCOVID-19ですね。たまに混同してしまいます(笑)

 

SARSサーズ(Severe acute respiratory syndrome coronavirus:重症急性呼吸器症候群)と言えば、2003年頃に中国を中心に流行したウイルス感染症で、この原因もコロナウイルス(SARS-CoV)でしたね。今回の新型コロナウイルスもSARS-CoVと似ていることからSARS-CoV-2と名付けられています。

 

 

症状としては無症状から風邪様症状(発熱、倦怠感、咳、味覚異常)が多く、重症化することはあまりありません。

しかし、一部、肺炎・呼吸困難・血栓症等、重症化することもあり、特に高齢者や基礎疾患(例:糖尿病心不全COPD等の呼吸器疾患)を持っている方では重症化のリスクが高いと言われています。

 

重症化の可能性や世界的なパンデミックにより、日本においてCOVID-19は2020年1月に感染症法に基づく「指定感染症」及び検疫法に基づく「検疫感染症」に指定されました。

【参考】内閣官房|新型コロナウイルス感染症の指定感染症等への指定について

 

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の増殖メカニズム

コロナウイルスの外観は「コロナ(太陽の光冠)」に似ていることからその名前が付けられています。

分類としては「一本鎖プラス鎖RNAウイルス」で、RNAをゲノムとしているウイルスですね!主にヒトの粘膜上皮細胞に感染します。

 

木元 貴祥
ウイルスの分類・・・いくつかありますが覚えていますか??特徴と代表例はこんな感じですね。1)

 

ちなみに、アデノ随伴ウイルスの仕組みを用いた治療法なんかもありますね。

ゾルゲンスマ(オナセムノゲンアベパルボベク)の作用機序・特徴【脊髄性筋委縮症】

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プラス鎖というのはゲノムそのものがmRNAとして働くことが可能なもの、マイナス鎖というのはゲノムを鋳型として一旦mRNAを作るものを言います。

 

SARS-CoV-2はプラス鎖の一本鎖RNAウイルスですので、ゲノム自体がmRNAとして働き、ヒト細胞内に侵入するとすぐにウイルスタンパク質の合成が始まりますね。

 

SARS-CoV-2がヒトの粘膜上皮細胞に感染する場合、以下の図のようなプロセスで感染・増殖します。

  1. 吸着・膜融合・脱殻:ヒト細胞内に入る
  2. ゲノム(RNA)の複製とタンパク質合成:ヒト細胞内で増える
  3. 細胞からの遊離:ヒト細胞外へ出て、他の細胞に感染する

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染・増殖メカニズム

 

上記②のRNAの複製過程では、「RNA依存性RNAポリメラーゼ(別名:レプリカーゼ)」と呼ばれるウイルスタンパク質が中心を担っています。

 

治療薬としては、重症患者さんを対象としたベクルリー(レムデシビル)、軽症患者さんを対象(予定)とするアビガン(ファビピラビル)がありますね。

アビガン(ファビピラビル)の作用機序【新型コロナウイルス(COVID-19)】

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現時点ではアビガンは未承認

 

トジナメラン(BNT162b2)の作用機序:新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン

新型コロナウイルスの表面には特有のスパイクタンパク質が発現していることが知られていますが、このタンパク質をコードするように設計されたmRNAを改変したものがBNT162b2です。

 

mRNAはそのままでは非常に脆くて分解されやすいため、

  • 人工的な修飾によって安定化
  • 脂質ナノ粒子に封入することで分解抑制

といった工夫がなされています。

 

BNT162b2を筋肉注射(通常、3週間の間隔をあけて2回投与)すると、体内でmRNA情報を元にして新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が合成されていきます。

 

木元 貴祥
合成されるのはスパイクタンパク質のみのため、もちろん感染力は皆無ですのでご安心ください!

 

合成されたスパイクタンパク質を体内の免疫細胞は「異物だ!」と認識することで排除しようと免疫が活性化されます。

その結果、新型コロナウイルスに対して免疫を獲得すると考えられています。

トジナメラン(BNT162b2)の作用機序:新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン

 

これでもし本当に新型コロナウイルスに感染した場合にも、体内の免疫がきちんと働いてくれますので、発症しないということですね。

 

エビデンス紹介:国際共同第Ⅲ相臨床試験

根拠となったのは国際共同で実施された第Ⅲ相試験です。2)

本試験は16歳以上の健常人43,448人を対象に、21,720人がBNT162b2を、21,728人がプラセボを接種され、その有効性と安全性が比較されました。

いずれも21日間隔で2回接種

 

主要評価項目は「感染歴のない参加者の集団における2回目接種7日後からの発症有無」とされ、結果は以下の通りでした。

 

BNT162b2群
(18,198人)
プラセボ群
(18,325人)
発症人数8人162人
有効性:95%(95%credible interval:90.3-97.6%)

 

木元 貴祥
重症化した患者さんもBNT162b2群で低かったと報告されていますね!

 

副反応

上記臨床試験で報告された有害事象として、軽度または中等度の注射部位疼痛、疲労、頭痛が報告されていますが、概ね2日以内に回復していたとのことです。

また、若年成人よりも高齢者で少なく軽度だったとのことです。

 

ちなみに重篤な有害事象の発現頻度はワクチン群(0.6%)とプラセボ群(0.5%)で同様でした。また、COVID-19関連の死亡も報告されていません。

 

ワクチンですので疼痛・疲労・頭痛・発熱等の関連副反応はある程度仕方ないと思います。

 

木元 貴祥
重篤なものが少なく、死亡例も出ていないので、これまでのワクチンと同じ感覚かな、という印象を受けました。

 

用法・用量

後日更新予定です。

臨床試験では1回30μgを21日間隔で2回投与とされていました。

 

まとめ・あとがき

BNT162b2ははこんな薬

  • 世界初・国内初のmRNAワクチンかつ新型コロナウイルスワクチン
  • 筋肉注射することでウイルスに対する免疫獲得が期待できる
  • 21日間隔で2回接種する

 

新型コロナウイルス感染症に対しては2020年5月に初の治療薬であるベクルリー(レムデシビル)が特例承認され、同年12月には2剤目の治療薬であるアビガン(ファビピラビル)が部会にて審議されましたが、継続審議となりました・・・。

ベクルリー(レムデシビル)の作用機序・副作用【COVID-19】

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それに加えて今回のBNT162b2申請は朗報だと思います!!

 

国内でもBNT162b2の第Ⅰ/Ⅱ相試験が実施されていますので、その結果を見てみないと何とも言えませんが、少なくとも海外の臨床試験ではその有効性と安全性が確認されています。

 

木元 貴祥
早く収束して例年までの日常が戻ることを期待したいですね・・・。

 

あとは冷凍保管や輸送の問題、接種可能施設がどうなるか等々、気になることは盛りだくさんですが、徐々に検討が進むことでしょう。

 

以上、今回は新型コロナウイルス感染症と初のmRNAワクチンであるBNT162b2の作用機序についてご紹介しました!

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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