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カルケンス(アカラブルチニブ)の作用機序【CLL】

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2020年10月30日の厚労省薬食審医薬品第二部会にて「再発・難治性の慢性リンパ性白血病」を効能・効果とするカルケンス(アカラブルチニブ)の承認可否が審議される予定です。

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名カルケンスカプセル100mg
一般名アカラブルチニブ
製品名の由来
製造販売アストラゼネカ(株)
効能・効果再発・難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)?
用法・用量1日2回経口投与?
収載時の薬価薬価未収載

 

カルケンスはブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬に分類されていて、慢性リンパ性白血病ではイムブルビカ(一般名:イブルチニブ)に次いで2製品目となります。

血液
イムブルビカ(イブルチニブ)の作用機序と副作用【CLL】

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今回は慢性リンパ性白血病(CLL)とカルケンス(アカラブルチニブ)の作用機序、エビデンスについてご紹介します。

 

慢性リンパ性白血病とは

白血病は「血液のがん」です。

血液細胞には、白血球(好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球、リンパ球(B細胞やT細胞)等がありますが、これら血液細胞の異常化(腫瘍化=がん化)によって引き起こされる病気が白血病です。

 

慢性リンパ性白血病(CLL:chronic lymphocytic leukemia)は、リンパ球のうち「成熟した小型のB細胞」が腫瘍化する疾患です。

腫瘍化したB細胞が末梢血や骨髄に存在している時には「慢性リンパ性白血病」と呼ばれ、リンパ節にあるときは「小リンパ球性リンパ腫」と呼ばれます。

 

慢性リンパ性白血病の発生頻度は日本では非常に少なく、白血病全体の約1~2%で約2,000人と推定されています。

また、慢性リンパ性白血病の腫瘍細胞の表面には「B細胞受容体(BCR)」が発現していることが知られています。

慢性リンパ性白血病(CLL)とBCR

 

慢性リンパ性白血病の症状と治療

慢性リンパ性白血病は進行が緩やかで無症状であることが多く、この場合経過観察が基本です。

進行すると倦怠感、寝汗を伴う微熱、貧血、血小板減少が認められることもあります。

 

症状がある場合、抗がん剤(フルダラビンやシクロホスファミド)と適宜リツキサン(一般名:リツキシマブ)を併用した治療や、イムブルビカ(一般名:イブルチニブ)による治療が行われます。1)

血液
イムブルビカ(イブルチニブ)の作用機序と副作用【CLL】

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しかし上記の治療を行っても治療抵抗性になったり、一度は寛解(効いた)にも関わらず再発してしまうこともあります。

この場合、リツキサン+ベネクレクスタ(ベネトクラクス)等が使用されますが、その他の治療選択肢は限られていました。

ベネクレクスタ(ベネトクラクス)の作用機序と副作用【CLL】

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木元 貴祥
今回ご紹介するカルケンスは再発・難治性の慢性リンパ性白血病に対して単剤で治療効果が期待されています。

 

それではカルケンスの関与する「B細胞受容体(BCR)」と「ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)」についてご紹介します。

 

ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)とは

慢性リンパ性白血病の腫瘍細胞(B細胞)の表面には「B細胞受容体(BCR)」が発現していることが知られています。

BCRに増殖因子が結合すると、そのシグナル伝達が細胞質内に伝えられ、途中に「ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)」を経由して核内に伝わります。

 

核内までシグナル伝達が伝わると腫瘍細胞の増殖が促進され、活性化・症状悪化が引き起こされると考えられます。

BCRとブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)

 

カルケンス(アカラブルチニブ)の作用機序

カルケンスは腫瘍細胞の「ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)」を選択的に阻害する薬剤です。

BTKを阻害することでシグナル伝達が阻害され、結果的に腫瘍細胞の増殖を抑制することが可能となります。

カルケンス(アカラブルチニブ)の作用機序:BTK阻害薬

 

エビデンス紹介:ASCEND試験

根拠となった臨床試験(ASCEND試験)をご紹介します。

本試験は1つ以上の治療歴のある再発・難治性の慢性リンパ性白血病患者さんを対象に、「イデラリシブ(またはトレアキシン)+リツキサン」群と「カルケンス」群を比較した国際共同第Ⅲ相臨床試験です。

イデラリシブは国内未承認

 

本試験の主要評価項目は「無増悪生存期間(PFS)*」で、結果は以下の通りでした。

対照群イデラリシブ(orトレアキシン)+
リツキサン群
カルケンス群
PFS中央値*16.5か月未到達
HR=0.31(95%CI:0.20-0.49)
P<0.0001
12か月時点の
PFS率
68%88%

*治療を開始してから、がんが増悪するまでの期間

 

リツキサン併用群と比較して、カルケンス群は有意にPFSを延長することが認められていますね。

 

副作用

正式承認後に更新予定。

 

用法・用量

正式承認後に更新予定。

臨床試験では1日2回の経口投与とされていました。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

カルケンスはこんな薬

  • 経口のBTK阻害薬
  • 再発・難治の慢性リンパ性白血病に単剤で使用する

 

これまで慢性リンパ性白血病の治療選択肢は限られていたことから、今後、色々な薬剤開発が進めば良いなと感じています。

 

木元 貴祥
近年では相次いで新薬が承認されていますので、今後も期待できるのではないでしょうか!

 

以上、今回は慢性リンパ性白血病とカルケンス(アカラブルチニブ)の作用機序・エビデンスについてご紹介しました!

 

引用文献・資料等

  1. 日本血液学会|造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版
  2. ASCEND試験:J Clin Oncol. 2020 Sep 1;38(25):2849-2861.

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木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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