1.中枢神経系

ブコラム口腔用液(ミダゾラム)の作用機序・特徴【てんかん】

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2020年9月25日、「てんかん重積状態」を効能・効果とするブコラム口腔用液(ミダゾラム)が承認されました!

国内では初のミダゾラムの頬粘膜投与製剤ですね。

武田薬品工業|ニュースリリース

基本情報

製品名ブコラム口腔用液2.5mg/5mg/7.5mg/10mg
一般名ミダゾラム
製品名の由来不明
製造販売武田薬品工業(株)
効能・効果てんかん重積状態
用法・用量記事内参照
収載時の薬価薬価未収載

 

これまで有効成分のミダゾラムは注射剤(製品名:ドルミカム注射液、ミダフレッサ静注)として販売されています。

てんかん重積状態ではしばしば静脈確保が困難なことがあり、その場合、保険適応されている注射剤以外の薬剤はありませんでした。

 

木元 貴祥
ブコラムは海外では既に承認・販売されていましたが、ようやく日本でも使用可能となりますね!

 

今回はてんかんとブコラムの作用機序について解説していきます。

 

てんかんとは

日本におけるてんかん患者は約100万人と報告されています。

通常、脳の神経は興奮抑制がバランスよく働くことで正常な状態を保っています。

 

しかし、何らかの原因で興奮系の神経が強く働いたり、抑制系の神経の力が弱まることで、激しい電気的乱れ(過剰興奮)が生じます。

そうすると脳は適切に情報を受け取ることや、命令ができなくなり、体の動きをコントロールできなくなります。

これが、てんかんによる発作の発生機序です。

てんかんは脳の興奮系が優位になっている

 

てんかんの種類とてんかん重積状態

てんかんは、発作のタイプによって、「部分てんかん」(約60%)と、「全般てんかん」(約40%)に大別されています。

部分てんかんは、脳の一部が興奮することで引き起こされ、全般てんかんは脳の全体もしくは大部分が興奮することで引き起こされます。

 

また、てんかんの発作症状が持続したり、意識障害があるまま短時間で反復したりする状態を「てんかん重積状態」と呼んでいます。

 

てんかん診療ガイドライン2018年1)には、「けいれん発作が5分以上持続すれば治療を開始すべきで、30分以上持続すると後遺障害の危険性がある」と記載があるため、できるだけ早期の治療開始が必要です。

 

そして「第1段階での治療薬は、ベンゾジアゼピン系薬剤のジアゼパムないしロラゼパムの静注射である」1)とされてますが、しばしば静脈確保が困難となることもあります。

ロラピタ(ロラゼパム)の作用機序と副作用【てんかん】

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同ガイドラインでは静脈確保が困難な場合、いずれも保険適応外として以下の治療選択肢が掲載されています。

  • ジアゼパム注射液注腸
  • ミダゾラム鼻腔・口腔内、筋注投与

 

木元 貴祥
ブコラムは上記、ミタゾラムの口腔内投与として初めて静注以外の投与法として承認された薬剤です!

 

脳の興奮系と抑制系

脳の興奮系と抑制系のバランスは以下の神経伝達物質によって調整されています。

  • 興奮系神経伝達物質:グルタミン酸
  • 抑制系神経伝達物質:GABA(γ-アミノ酪酸)

 

グルタミン酸が「NMDA受容体」や「AMPA受容体」に結合することで脳が興奮します。

一方、GABAが「GABAA受容体」に結合することで脳の興奮が抑制されます。

脳の興奮系と抑制系

 

通常、てんかん発作時には興奮系の神経伝達物質(グルタミン神経)が強く働いているため、

  • 興奮系神経伝達物質の働きを抑制する
  • 抑制系神経伝達物質の働きを増強(亢進)する

といった治療が必要になります。

 

ブコラムはGABAA受容体(抑制系神経伝達物質)に関係する薬剤です。

 

GABAA受容体の仕組み

GABAとGABA受容体についてもう少し詳しく見ていきます。

 

GABAA受容体にはGABAが結合する部位が存在していまが、ここにGABAが結合するとクロールイオン(Cl-)が細胞内に流入します。

そうすることで神経の抑制系が亢進されると考えられています。

GABAA受容体の仕組みとクロールイオン

 

ブコラム(ミダゾラム)の作用機序

前述のGABAA受容体にはGABA結合部位の他、「ベンゾジアゼピン(BZD)結合部位」が存在しています。

ブコラムはベンゾジアゼピン系の薬剤に分類されており、GABAA受容体の「ベンゾジアゼピン結合部位」に結合します。

 

そうすると、GABAとGABAA受容体との結合親和性が高まると考えられており、それによってクロールイオン(Cl-)の流入が増大し、神経の抑制効果がより増強(亢進)されます。

ブコラム(ミダゾラム)の作用機序

 

このような作用機序によって過剰に興奮した神経を抑制し、てんかん重積状態を改善するのがブコラムです!

 

用法・用量と頬粘膜への投与方法

通常、修正在胎52週(在胎週数+出生後週数)以上1歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回2.5mg、1歳以上5歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回5mg、5歳以上10歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回7.5mg、10歳以上18歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回10mgを頬粘膜投与します。

 

木元 貴祥
投与量については表にしてみました。
年齢ミダゾラム1回投与量
修正在胎52週以上1歳未満2.5mg
1歳以上5歳未満5mg
5歳以上10歳未満7.5mg
10歳以上18歳未満10mg

 

1回投与量に合わせた4規格がありますので、年齢に応じて各規格が処方されます。

 

また、頬粘膜投与ということでいくつか注意事項もあります(用法及び用量に関連する注意より)。

  • 本剤のシリンジ液剤の全量を片側の頬粘膜に緩徐に投与すること。体格の小さい患者や用量が多い場合は、必要に応じて両側の頬粘膜に半量ずつ投与すること。
  • 保護者又はそれに代わる適切な者が本剤を投与する場合は、1回分(シリンジ1本)のみの投与とするよう指導すること。
  • 本剤は頬粘膜より吸収されるため、投与時に可能な限り本剤を飲み込まないように注意すること。

 

実際の投与方法についてはメーカーのHPに動画や資材がありますので、そちらもご確認ください。

武田薬品工業|製品概要 ブコラム口腔用液ブコラム使い方ガイドブック

 

木元 貴祥
なかなか頬投与製剤ってありませんので、最初は難しそうですよねー・・。

 

収載時の薬価

現時点では薬価未収載です。

 

てんかん重積状態に使用する類薬

てんかん重積状態に使用できるベンゾジアゼピン系の薬剤は以下があります。

製品名
(一般名)
適応年齢投与経路
ミダフレッサ静注/ドルミカム注射液
(ミダゾラム)
小児のみ注射(静注)
ブコラム口腔用液
(ミダゾラム)
小児のみ頬粘膜投与
セルシン注射液/ホリゾン注射液
(ジアゼパム)
成人のみ注射(静注)
ロラピタ静注
(ロラゼパム)
小児・成人注射(静注)

 

基本的には静注が推奨されますので、ミダフレッサ/ドルミカム、セルシン/ホリゾン、ロラピタが第一推奨ですね。

ロラピタは小児・成人共に使用できますので、利便性は高いと思われます。

ロラピタ(ロラゼパム)の作用機序と副作用【てんかん】

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ブコラムは静注ができない場合、第二選択として期待されますね。

 

まとめ・あとがき

ブコラムはこんな薬

  • ベンゾジアゼピン系の薬剤
  • GABAとGABAA受容体との結合親和性を高める
  • てんかん重積状態で初の頬粘膜投与製剤(口腔内投与製剤)

 

ブコラムは海外ではてんかん重積状態の口腔内投与製剤として既に承認されていましたが、日本ではようやく承認となりました!

 

木元 貴祥
海外と同様の治療選択肢が提供可能となりますので、患者さんにとっては朗報ではないでしょうか。

 

以上、今回はてんかん重積状態とブコラム(ミダゾラム)の作用機序についてご紹介しました!

 

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木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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