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2020年9月14日、「FGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆管がん」を対象疾患とするペミガチニブの製造販売承認申請が行われました!
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
製品名 | ペマジーラ?米国ではPEMAZYRE |
一般名 | ペミガチニブ |
製品名の由来 | - |
製造販売 | インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン |
効能・効果 | FGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆管がん? |
用法・用量 | 1日1回経口投与? |
収載時の薬価 | 薬価未収載 |
ペミガチニブは国内初の選択的な「線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)」の阻害薬ですね。
現時点では未承認ですが、正式承認されれば選択肢が増えるので期待大ですね!
今回は胆管がんとペミガチニブの作用機序について解説していきます。
胆管がんとは
肝臓で生成される胆汁(主に脂肪を分解する消化液)は、肝臓内の管を通って十二指腸の乳頭部から放出されます。
この胆汁が通る管のことを「胆管」と呼んでいます。また、胆汁を一時的に貯留する器官が「胆のう」です。
胆管がんはその名の通り、胆管から発生する悪性腫瘍です。
初期にはほぼ無症状ですが、がんが進行すると、
- 黄疸
- 腹痛
- 体重減少、発熱、食欲不振、全身倦怠感
といった症状が発現してきます。1)
治療法
初期に発見できた場合、手術による切除が最も有効な治療になります。
しかし、発見時にがんが大きくて切除できない場合(局所進行)や、他の臓器に転移している場合(遠隔転移)、手術はできません。
この場合、抗がん剤による化学療法が第一選択です。初回治療(一次治療)として使用される化学療法には以下があります。2)
初回治療を行ったとしてもいずれは抵抗性が生じ、上記治療が不応となってきます。
その場合、二次治療が行われますが、残念ながら明確なエビデンスのある治療法がなく、5-FU系抗がん剤(例:S-1等)が選択されることが多いです。2)
-
ティーエスワン(TS-1)と5-FUの作用機序と特徴【抗がん剤】
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がんの遺伝子検査でMSI-Hと診断された場合にはキイトルーダ(ペムブロリズマブ)が二次治療に行われることもありますね。2)
-
キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序【消化器がん/MSI-High固形がん】
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今回ご紹介するペミガチニブはFGFR2融合遺伝子が陽性の場合、二次治療として治療効果が期待されている薬剤です!
胆管がんでは10~16%にFGFR2融合遺伝子陽性が認められるとされています。3-4)
ペミガチニブの作用機序|FGFR2融合遺伝子とは
FGFR(fibroblast growth factor receptor:線維芽細胞増殖因子受容体)は正常細胞にも存在している受容体で、因子(FGF等)が結合することで活性化して細胞の活性や増殖に関与しています。
FGFRにはサブタイプがあり、FGFR1、FGFR2、FRFR3が知られていて、それぞれFGFR1/2/3遺伝子から合成されます。
何らかの原因でFGFR2遺伝子とその他の遺伝子が転座(ひっくり返ってくっつく)してしまうことがあり、この結果、融合してできる異常な遺伝子を「FGFR2融合遺伝子」と呼んでいます。
FGFR2融合遺伝子から転写・翻訳して合成される異常なFGFR2融合タンパクは発がんの原因になったり、増殖因子がなくてもがんの増殖活性を促したりします。
ペミガチニブは異常なFGFR融合タンパクを選択的に阻害するように設計された薬剤です!
上図のようにFGFR2融合タンパクを阻害することでがん細胞の増殖を抑制すると考えられていますね。
エビデンス紹介:FIGHT-202試験
根拠となったのは日本を含む国際共同で実施された第Ⅱ相試験のFIGHT-202試験です。4)
1つ以上の化学療法既往歴を有する局所進行・遠隔転移の胆管がん患者さんを対象に、ペミガチニブの安全性と有効性を検討しました。
本試験は3つのコホートに分かれて検討されています。
- FGFR2融合遺伝子/再構成陽性コホート
- 他のFGF/FGFR遺伝子変異陽性コホート
- 変異陰性コホート
主要評価項目は①のコホートにおける「奏効率」とされ、結果は35.5%と主要評価項目は達成されていました。
ちなみに同コホートの無増悪生存期間中央値は6.9か月、生存期間中央値は21.1か月と有望な結果です。
用法・用量
後日更新予定です。
前述の臨床試験では、1日1回経口投与を2週間連続で服用し、1週間休薬するといったスケジュールでした。(3週間1サイクル)
副作用
後日更新予定です。
前述の臨床試験では高リン酸血症(60%)が高頻度に確認されていました。
収載時の薬価
現時点では未承認・薬価未収載です。
まとめ・あとがき
ペミガチニブはこんな薬
- FGFR2融合タンパクを選択的に阻害する
- FGFR2融合遺伝子陽性胆管がんの二次治療として期待
これまで切除不能な胆管がんの二次治療はエビデンスのある治療選択肢がなく、新たな治療が望まれていました。
FGFR2融合遺伝子は胆管がん全体の10~16%ですので、全員が対象となるわけではありませんが、治療選択肢が増えることは朗報ではないでしょうか。
以上、今回は胆管がんとペミガチニブの作用機序・エビデンスについて解説しました!
引用文献・資料等
- がん徐放サービス|胆管がん
- 日本肝胆膵外科学会|胆道癌診療ガイドライン
- Cytokine Growth Factor Rev. 2020 Apr;52:56-67.
- FIGHT-202試験:Lancet Oncol. 2020 May;21(5):671-684.
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