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2021年1月29日、厚労省の薬食審医薬品第二部会にて、「NTRK陽性の固形がん」を対象疾患とする新規TRK阻害薬のヴァイトラックビ(ラロトレクチニブ)の承認可否が審議される予定です!
バイエル薬品|申請のニュースリリース
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
製品名 | ヴァイトラックビカプセル25mg/100mg ヴァイトラックビ内用液20mg/mL |
一般名 | ラロトレクチニブ |
製品名の由来 | 不明 |
製造販売 | バイエル薬品(株) |
効能・効果 | NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん? |
用法・用量 | 不明 |
収載時の薬価 | 薬価未収載 |
同様の疾患・作用機序としてはロズリートレク(エヌトレクチニブ)がありますね。
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ロズリートレク(エヌトレクチニブ)の作用機序【NTRK陽性の固形がん/ROS1陽性の肺がん】
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臓器横断的な承認はMSI-Highの固形がん(成人)を対象にしたキイトルーダが初ですが、NTRK陽性の固形がんを対象としたロズリートレクが2製品目、ヴァイトラックビが3製品目になる見込みです。
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キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序【消化器がん/MSI-High固形がん】
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今回はNTRK融合遺伝子や、ヴァイトラックビ(ラロトレクチニブ)の作用機序・エビデンスについて解説しています。
目次(クリック可)
NTRK遺伝子とTRKについて
神経系細胞の増殖や記憶の定着等を担う受容体としてTRK(トロポミオシン受容体キナーゼ:tropomyosin receptor kinase)A/B/Cと呼ばれるタンパク質が知られており、これに増殖因子が結合することで神経系細胞の増殖が促されます。1)
TRKはNTRK(神経栄養受容体チロシンキナーゼ:neurotrophic tyrosine kinase)と呼ばれる遺伝子が転写・翻訳されることで合成されます。1)
参考
- 転写:遺伝子(DNA)からmRNAを合成する過程
- 翻訳:mRNAからタンパク質を合成する過程
またNTRK遺伝子とTRKには以下の3種類が存在しています。
- NTRK1遺伝子⇒TRKA
- NTRK2遺伝子⇒TRKB
- NTRK3遺伝子⇒TRKC
NTRK融合遺伝子とは?
では続いて、NTRK遺伝子が異常になってしまう「NTRK融合遺伝子」について解説します。
何らかの原因でNTRK遺伝子とその他の遺伝子が転座(ひっくり返ってくっつく)してしまうことがあり、この結果、融合してできる異常な遺伝子を「NTRK融合遺伝子」と呼んでいます。
NTRK融合遺伝子から転写・翻訳して合成される異常なTRK融合タンパクは発がんの原因になったり、増殖因子がなくてもがんの増殖活性を促したりします。2)
NTRK1融合遺伝子からはTRKA融合タンパク、NTRK2融合遺伝子からはTRKB融合タンパク、NTRK3融合遺伝子からはTRKC融合タンパクがそれぞれ合成されます。
NTRK融合遺伝子が関与するがん
NTRK融合遺伝子は全がんの1%程とされていますので、非常に稀ですが、主ながんの種類には以下があります。2)
- 虫垂がん
- 乳がん
- 胆管がん
- 大腸がん
- 消化管間質腫瘍(GIST)
- 乳児型線維肉腫
- 肺がん
- 悪性黒色腫
- 膵臓がん
- 甲状腺がん
ヴァイトラックビ(ラロトレクチニブ)の作用機序:TRK阻害
ヴァイトラックビはTRK(TRKA/TRKB/TRKC)融合タンパクを選択的に阻害する薬剤です!
下図のようにTRK融合タンパクを阻害することでがん細胞の増殖を抑制すると考えられています。
NTRK融合遺伝子陽性固形がんのエビデンス紹介
根拠となった臨床試験には以下があります。
- LOXO-TRK-14001試験:成人を対象とした第Ⅰ相試験
- NAVIGATE試験:成人・青年期を対象とした第Ⅱ相試験
- SCOUT試験:小児を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験
上記試験はまとめて論文で報告されていて、主要評価項目の奏効率*は75%(95%CI:61~85%)とされていますね。3)
*奏効率:がんが30%以上縮小した患者さんの割合
副作用
正式承認後に更新予定です。
用法・用量
正式承認後に更新予定です。
前述の臨床試験では1日2回経口投与されていました。
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
ヴァイトラックビはこんな薬
- TRK(TRKA/TRKB/TRKC)融合タンパクを選択的に阻害する
- NTRK融合遺伝子陽性の固形がんに対して臓器横断的に使用できる見込み
- 1日2回経口投与
NTRK融合遺伝子陽性の固形がんに対しては2019年に初の臓器横断的に使用できるロズリートレクが登場しました。ヴァイトラックビは同じ疾患に使用しますが、治療選択肢が増えることは朗報ではないでしょうか。
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ロズリートレク(エヌトレクチニブ)の作用機序【NTRK陽性の固形がん/ROS1陽性の肺がん】
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今後は両薬剤の使い分け等が検討されれば興味深いですね。まずはどちらかを先に使い、耐性が認められればもう一方を使用するといった使われ方をされると思われます。
今回はNTRK融合遺伝子とヴァイトラックビ(ラロトレクチニブ)の作用機序やエビデンスについて解説しました!
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