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タブレクタ(カプマチニブ)の作用機序【MET陽性肺がん】

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2020年6月29日、「MET遺伝子陽性の非小細胞肺がん」を対象疾患とするタブレクタ(カプマチニブ)が承認されました。

ノバルティスファーマ|ニュースリリース

基本情報

製品名タブレクタ錠150mg/200mg
一般名カプマチニブ塩酸塩水和物
製品名の由来不明
製造販売ノバルティスファーマ(株)
効能・効果MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
用法・用量通常、成人にはカプマチニブとして 1 回 400mg を1日2回経口投与する。
なお、患者の状態により適宜減量する。
収載時の薬価薬価未収載

 

タブレクタはc-METメット阻害薬に分類されていて、国内では同じく肺がんに使用するテプミトコ(テポチニブ)に次いで2製品目となります。

テプミトコ(テポチニブ)の作用機序【MET陽性肺がん】

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今回は非小細胞肺がんとMET遺伝子、そしてタブレクタ(カプマチニブ)の作用機序についてご紹介します。

 

肺がんの分類について

肺がんは性質や薬の効き方によって“非小細胞肺がん”と“小細胞肺がん”に分類されています。

早期に発見できた場合、手術の適応になりますが、発見時に他の臓器に転移がある場合、化学療法(抗がん剤や分子標的薬)の治療が中心となります。

 

木元 貴祥
この分類によって使用できる治療薬が異なりますので、順に各組織分類別に解説していきます。

 

非小細胞肺がんの治療(切除不能・再発の場合)

非小細胞肺がんはその組織型によって以下の2種類に分類されています。

  1. 非扁平上皮がん
  2. 扁平上皮がん

 

非小細胞肺がん(非扁平上皮)の初回化学療法(一次化学療法)は、がんの遺伝子状況によって以下の優先順位で使用する薬剤が細かく使い分けられています。1)

 

 

 

 

 

 

 

抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬の併用については以下の記事で解説しています。

テセントリク(アテゾリズマブ)の作用機序【肺がん/乳がん】

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上記のうち、最も頻度が高いのがEGFR遺伝子変異陽性で、約半数を占めています。

 

また、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異が陽性のこともあり、今回ご紹介するタブレクタは同患者さんに対して使用されます。

割合としては非小細胞肺がんの約3%だそうです。

 

一方、非小細胞肺がんのうち、扁平上皮がんについては以下の記事をご確認ください。

ポートラーザ(ネシツムマブ)の作用機序と副作用【肺がん】

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MET遺伝子変異のがんの増殖メカニズム

がん細胞が増殖するメカニズムは様々な仕組みが存在していますが、がん細胞はしばしば「c-MET」と呼ばれるタンパク質(チロシンキナーゼ)を発現していることあります。

 

因子であるHGF(肝細胞増殖因子)が、がん細胞のc-METに結合すると、その刺激が細胞内を伝達(シグナル伝達)し、核内に刺激が届けられます。

核内まで刺激が伝達すると、増殖・活性化が促進され、がん細胞の増殖に繋がります。

 

ただし、因子であるHGFが存在しない場合、刺激が核に伝達しないため、がん細胞は増殖しません。

c-METとHGFによる癌細胞の増殖メカニズム

 

非小細胞肺がんの患者さんの一部ではMET遺伝子に変異のあることが知られていて、主に以下の2つの変異があります。2)

  1. METエクソン14(METex14)スキッピング変異
  2. MET遺伝子増幅

 

木元 貴祥
これを「MET遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん」と呼んでいます。

 

MET遺伝子変異陽性の場合、c-METはHGFが存在しないにも関わらず、恒常的にシグナル伝達が核へと伝達されています。

 

そのため、常にがん細胞は増殖が活性化されている状態です。

MET遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんはHGFが無くても増殖する

 

 

その他、肺がんで使用されるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(例:タグリッソやイレッサ等)の耐性にもMET遺伝子が関与していると言われています。2)

 

タブレクタ(カプマチニブ)の作用機序

タブレクタは、がん細胞の「エクソン14スキッピング変異」によるc-METを特異的に阻害する薬剤です!

 

がんの増殖に関与しているc-METを阻害することでシグナル伝達を阻害させ、がん細胞の増殖を抑制するといった作用機序ですね。

テプミトコ(テポチニブ)の作用機序:c-MET阻害薬

 

エビデンス紹介:GEOMETRY mono-1試験

根拠となった臨床試験はGEOMETRY mono-1試験です。3)

本試験はMET遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者さんを対象(治療ラインは問わない)に、タブレクタの1日2回投与の有効性と安全性を検討する第Ⅱ相臨床試験ですね。

 

主要評価項目の奏効率は

  • 化学療法歴のない患者さん:67.9%
  • 化学療法歴のある患者さん:40.6%

という結果でした。

 

用法・用量

通常、成人にはカプマチニブとして 1 回 400mgを1日2回経口投与します。

なお、患者の状態により適宜減量

 

ちなみに、既に承認されているテプミトコ(テポチニブ)は1日1回の経口投与です。

テプミトコ(テポチニブ)の作用機序【MET陽性肺がん】

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副作用

10%以上に認められる副作用として、食欲減退、悪心(37.1%)、嘔吐、下痢、リパーゼ増加、疲労などが報告されています。

 

重大な副作用として、

  • 間質性肺疾患:間質性肺疾患(2.1%)、肺臓炎(4.1%)
  • 体液貯留(54.6%):末梢性浮腫(52.6%)、低アルブミン血症(7.2%)、胸水(頻度不明)、心嚢液貯留(1.0%)
  • 肝機能障害(10.3%):AST増加(7.2%)、ALT増加(10.3%)
  • 腎機能障害(25.8%):血中クレアチニン増加(25.8%)、腎不全(頻度不明)、急性腎障害(頻度不明)

が挙げられていますので特に注意が必要です。

 

収載時の薬価

現時点では薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

タブレクタはこんな薬

  • MET遺伝子変異の非小細胞肺がんに対して効果が期待されている
  • 類薬にはテプミトコ(テポチニブ)がある
  • 1日2回経口投与

 

非小細胞肺がんでは様々な遺伝子変異が発見され、それに応じた治療が行われています。

MET遺伝子もその一つとして見つかっていましたが、有効な治療法はありませんでした。

 

木元 貴祥
稀な変異ですが、MET遺伝子変異の患者さんにとってはタブレクタが期待できるのではないでしょうか。

 

今後はテプミトコ(テポチニブ)との使い分け等も検討されれば興味深いと感じますね!

テプミトコ(テポチニブ)の作用機序【MET陽性肺がん】

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以上、今回は非小細胞肺がんとMET遺伝子、そしてタブレクタ(カプマチニブ)の作用機序についてご紹介しました!

 

参考資料・論文等

  1.  日本肺癌学会|肺癌診療ガイドライン2019年版
  2. Nat Rev Cancer. 2018 Jun;18(6):341-358.
  3. タブレクタ錠|添付文書

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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