11.血液・造血器系

サークリサ(イサツキシマブ)の作用機序【多発性骨髄腫】

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2020年5月28日の厚労省薬食審医薬品第二部会にて、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を対象疾患とするサークリサ(イサツキシマブ)の承認可否が審議される予定です。

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名サークリサ点滴静注100mg/500mg
一般名イサツキシマブ(遺伝子組換え)
製品名の由来不明
製薬会社サノフィ(株)
効能・効果再発又は難治性の多発性骨髄腫?
用法・用量不明
収載時の薬価薬価未収載

 

サークリサはCD38に対するモノクローナル抗体薬ですので、同じく多発性骨髄腫に使用されるダラザレックス(ダラツムマブ)と同じ作用機序ですね。

ダラザレックス(ダラツムマブ)の作用機序【多発性骨髄腫】

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今回は多発性骨髄腫とサークリサ(イサツキシマブ)の作用機序についてご紹介します。

 

多発性骨髄腫について

通常、人の体内では、異物(ウイルス・細菌など)が侵入した際、B細胞から免疫グロブリン(抗体)が作られることで体を異物から守って感染症等を抑えてくれています。

 

多発性骨髄腫では、この抗体を産生するB細胞が異常増殖(腫瘍化)することで引き起こされる疾患で、血液腫瘍に分類されています。

がん化したB細胞(“骨髄腫細胞”と呼ばれます)は、健康な血液の産生を妨げたり、骨をもろくするなどのさまざまな障害を引き起こします。

 

その結果、症状として、

  • 骨痛
  • 腎機能障害
  • 貧血
  • 易感染性
  • 出血傾向

などがみられます。

 

またこの骨髄腫細胞の表面には、「CD38」と呼ばれるシグナル伝達分子が過剰に発現していることも知られています。

 

多発性骨髄腫の治療

多発性骨髄腫の治療は造血幹細胞移植が可能かどうか、によって選択肢が異なります。1)

  • 移植が可能:ボルテゾミブ+デキサメタゾン等を3~4回施行し、奏効すれば造血幹細胞移植
  • 移植が不能:Ld療法*やMPB療法*が標準治療。その他、MPT療法*等もある。

 

*参考

  • Ld療法:レナリドミド+デキサメタゾン
  • MPB療法:メルファラン+プレドニゾロン+ボルテゾミブ
  • MPT療法:メルファラン+プレドニゾロン+サリドマイド

 

移植が不能な場合の初回治療として、Ld療法やMPB療法とダラザレックスを併用することもあります!

ダラザレックス(ダラツムマブ)の作用機序【多発性骨髄腫】

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造血幹細胞移植やその後の維持療法については以下の記事をご覧ください。

血液
ニンラーロ(イキサゾミブ)の作用機序【多発性骨髄腫】

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移植が成功したとしても一定数の患者さんは残念ながら再発してしまいます。また、移植が不能でMPB療法やMPT療法を行ったとしても不応(難治性)となる場合もあります。

その場合、プロテアソーム阻害薬(例:ボルテゾミブイキサゾミブ)もしくは免疫調整薬(例:レナリドミド、ポマリドミド)を単独または併用した治療法が行われますが、今回ご紹介するサークリサは再発・難治性の多発性骨髄腫に対してポマリドミド+デキサメタゾンと併用して使用します。

 

サークリサ(イサツキシマブ)の作用機序

サークリサは、骨髄腫細胞の表面にある「CD38」に特異的に結合する抗体製剤です。

 

サークリサが目印となって免疫細胞が攻撃しやすくなったりすること(ADCC活性)によって、抗腫瘍効果を発揮すると考えられています。

サークリサ(イサツキシマブ)の作用機序

 

その他にも以下の作用によって腫瘍細胞を排除すると考えられています。

  • CDC(補体依存性細胞傷害)作用:補体系が活性化し、腫瘍細胞が障害される
  • ADCP(抗体依存性細胞貪食)作用:貪食細胞が腫瘍細胞を貪食する

 

エビデンス紹介:ICARIA-MM試験

再発・難治性の根拠となった臨床試験(ICARIA-MM試験)をご紹介します。2)

本試験はレナリドミドやプロテアソーム阻害薬を含む2回以上の治療歴がある再発・難治性多発性骨髄腫患者さんを対象に、ポマリドミド+デキサメタゾン(Pd)群とPd+サークリサ群を比較する第Ⅲ相臨床試験です。

 

主要評価項目は「無増悪生存期間」で、結果は以下の通りでした。

試験群Pd療法サークリサ+
Pd療法
無増悪生存期間中央値6.5か月11.5か月
HR=0.596(95% CI 0.44-0.81)
p=0.001

 

このように再発・難治性の多発性骨髄腫患者におけるPd療法ににサークリサを併用することで増悪までの期間を有意に延長することが示されています。

 

木元 貴祥
ただし、試験では「レナリドミドやプロテアソーム阻害薬を含む2回以上の治療歴」を有する患者さんを対象としていますので、そのような患者さんへの使用が望まれますね。

 

副作用

後日更新予定です。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

サークリサはこんな薬

  • 腫瘍細胞のCD38を特異的に認識する抗体製剤
  • ADCC作用、DCD作用、ADCP作用によって抗腫瘍効果を発揮する
  • 類薬にはダラザレックスがある

 

CD38に対する抗体製剤としてはダラザレックスに次いで2製品目の登場となります。

ダラザレックス(ダラツムマブ)の作用機序【多発性骨髄腫】

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が、現在、ダラザレックスは多発性骨髄腫の初回治療から使用可能のため、その後にサークリサを使用する場合、効果が得られるのかどうかは疑問に感じますね。

 

木元 貴祥
今後、色々検討が進むことを期待したいと思います!

 

以上、今回は多発性骨髄腫とサークリサ(イサツキシマブ)の作用機序についてご紹介しました。

 

引用文献・資料等

  1. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版 第2版
  2. ICARIA-MM試験:Lancet. 2019 Dec 7;394(10214):2096-2107.

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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