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アルンブリグ(ブリグチニブ)の作用機序【ALK陽性の肺がん】

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2020年2月28日、「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん」を対象疾患とする新規のALKチロシンキナーゼ阻害薬のアルンブリグ(ブリグチニブ)の製造販売承認申請が行われました。

武田薬品工業|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名アルンブリグ
一般名ブリグチニブ
製品名の由来不明
製造販売武田薬品工業(株)
効能・効果ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん?
用法・用量1日1回経口投与?(最初の7日間は90mg、その後は180mg?)
収載時の薬価薬価未収載

 

木元 貴祥
海外では既に製品名「ALUNBRIG」として承認されていますね。

 

ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの一次治療ではアレセンサ(一般名:アレクチニブ)やザーコリ(一般名:クリゾチニブ)が使用されますが、アルンブリグはその後の二次治療として使用が見込まれますね!

アレセンサ(アレクチニブ)の作用機序【ALK陽性の肺がん・ALCL】

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今回は非小細胞肺がんとアルンブリグ(ブリグチニブ)の作用機序、エビデンス等について解説していきます。

 

肺がんの分類について

肺がんは性質や薬の効き方によって“非小細胞肺がん”と“小細胞肺がん”に分類されています。

早期に発見できた場合、手術の適応になりますが、発見時に他の臓器に転移がある場合、化学療法(抗がん剤や分子標的薬)の治療が中心となります。

 

木元 貴祥
この分類によって使用できる治療薬が異なりますので、順に各組織分類別に解説していきます。

 

非小細胞肺がんの治療(切除不能・再発の場合)

非小細胞肺がんはその組織型によって以下の2種類に分類されています。

  1. 非扁平上皮がん
  2. 扁平上皮がん

 

今回は非扁平上皮がんを中心にご紹介します。扁平上皮がんについては以下の記事をご確認ください。

ポートラーザ(ネシツムマブ)の作用機序と副作用【肺がん】

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非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)の初回化学療法(一次化学療法)は、がんの遺伝子状況によって以下の優先順位で使用する薬剤が細かく使い分けられています。1)

 

 

 

 

 

 

 

抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬の併用については以下の記事で解説しています。

テセントリク(アテゾリズマブ)の作用機序【肺がん/乳がん】

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上記のうち、最も頻度が高いのがEGFR遺伝子変異陽性で、約半数を占めています。

 

また、ALK融合遺伝子陽性は約2~5%とされ、推定患者数は1600~3900人と少数です。

一次化学療法ではアレセンサ、ジカディア、ザーコリが使用可能ですが、耐性が生じた場合に二次化学療法に移行していきます。

 

ALK融合遺伝子陽性の二次化学療法では、ローブレナ(一般名:ロルラチニブ)が使用可能ですが、治療選択肢が少ないといった問題がありました。

ローブレナ(ロルラチニブ)の作用機序と副作用【ALK陽性の肺がん】

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木元 貴祥
今回ご紹介するアルンブリグはローブレナ同様、ALK融合遺伝子陽性の患者さんの二次化学療法として使用されます。

 

ALK融合遺伝子とがんの増殖メカニズム

がん細胞が増殖するメカニズムは様々な仕組みが存在していますが、がん細胞は増殖因子の結合する受容体を持っています。

受容体を構成する遺伝子の1つに「ALK遺伝子」が知られていますが、正常なALK遺伝子を持つ受容体では、増殖因子が結合することで、その刺激が細胞内を伝達(シグナル伝達)し、核内に刺激が届けられます。

 

核内まで刺激が伝達すると、増殖・活性化が促進され、がん細胞の増殖に繋がります。

ただし、増殖因子が存在しない場合、刺激が核に伝達しないため、がん細胞は増殖しません。

ALK融合遺伝子とがんの増殖メカニズム

 

しかし、非小細胞肺がんの約2~5%の患者さんでは、ALK遺伝子と別の遺伝子が入れ替わって融合してしまうことが知られています。

融合してしまった遺伝子のことを「ALK融合遺伝子」と呼んでおり、これを元に「ALK融合タンパク」が合成されます。

 

ALK融合タンパクは、増殖因子が存在しないにも関わらず、恒常的にシグナル伝達が核へと伝達されています。

 

そのため、常にがん細胞は増殖が活性化されている状態です。

ALK融合遺伝子とがんの増殖メカニズム

 

アルンブリグ(ブリグチニブ)の作用機序

アルンブリグはALK融合遺伝子から合成されたALK融合タンパクを特異的に阻害する薬剤です!

 

ALK融合タンパクを阻害することでシグナル伝達を阻害させ、がん細胞の増殖を抑制するといった作用機序を有しています。

アルンブリグ(ブリグチニブ)の作用機序:ALKチロシンキナーゼ阻害

 

 

ALK融合タンパクは、がん細胞にしか存在していないため、アルンブリグは正常細胞には影響を及ぼしにくいといった特徴があります。

 

エビデンス紹介:ALTA試験、J-ALTA試験

根拠となった臨床試験は以下です。

  • ALTA試験:ザーコリ抵抗性のALK融合遺伝子陽性の患者さんを対象とした海外第Ⅱ相試験
  • J-ALTA試験:アレセンサもしくはアレセンサ・ザーコリ抵抗性のALK融合遺伝子陽性の患者さんを対象とした国内第Ⅱ相試験

 

代表としてALTA試験についてご紹介します。2)

本試験はザーコリ抵抗性のALK融合遺伝子陽性の患者さんを対象に、アルンブリグ90mg投与群とアルンブリグ180mg投与(最初の7日間は90mg)群を検討した海外第Ⅱ相臨床試験です。

 

主要評価項目は「奏効率」とされ、結果は以下の通りでした。

アルンブリグ
90mg投与群
アルンブリグ
180mg投与群
奏効率*45%54%
PFS中央値9.2か月12.9か月
HR=0.55
(95%CI:0.35-0.86)

*奏効率:がんが30%以上縮小した患者さんの割合
†無増悪生存期間(PFS):がんが増殖(増悪)せずに生存している期間

 

木元 貴祥
180mg投与群の方がPFSが良好な成績でしたね。

 

用法・用量

後日更新予定です。

日本で行われたJ-ALTA試験では1日1回90mgを7日間経口投与し、その後は1日1回180mgを連日経口投与していました。

 

副作用

後日更新予定です。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

アルンブリグはこんな薬

  • ALKチロシンキナーゼを選択的に阻害する
  • ザーコリやアレセンサ抵抗性の患者さんに対して効果が期待できる

 

現在、国内では4製品のALK阻害薬が承認・販売されていますので、アルンブリグが正式に承認されれば5製品目となる見込みです。

  • アレセンサ(一般名:アレクチニブ)
  • ジカディア(一般名:セリチニブ)
  • ザーコリ(一般名:クリゾチニブ)
  • ローブレナ(一般名:ロルラチニブ)

 

ブリグチニブは初回治療(一次化学療法)でもザーコリと直接比較して良好な成績が発表されています(ALTA-1L試験)3)ので、今後も期待したいと思います!

 

以上、今回は非小細胞肺がんとブリグチニブの作用機序、エビデンス等についてご紹介しました。

 

参考資料・論文等

  1.  日本肺癌学会|肺癌診療ガイドライン2019年版
  2. ALTA試験:J Clin Oncol. 2017 Aug 1;35(22):2490-2498.
  3. ALTA-1L試験:N Engl J Med 2018; 379:2027-2039

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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