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デュピクセント(デュピルマブ)の作用機序と副作用【アトピー性皮膚炎】

   

厚労省は2018年1月19日、「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品のデュピクセント皮下注300mgシリンジ(一般名:デュピルマブ(遺伝子組換え))を承認したと発表がありました☆

 

今回はアトピー性皮膚炎とデュピクセント(デュピルマブ)の作用機序についてご紹介します。

 

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アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られる皮膚の炎症を伴う疾患です。

主な症状は「湿疹」と「かゆみ」で、良くなったり悪くなったりを繰り返し、なかなか治らなく、慢性的であるのとが特徴です。

具体的には、赤みがある、じゅくじゅくして引っかくと液体が出てくる、ささくれだって皮がむける、長引くとごわごわ硬くなって盛り上がる、などがあります。

部位としては、おでこ、目のまわり、口のまわり、耳のまわり、首、わき、手足の関節の内側などに出やすいとされており、左右対称に発現することもあります。

 

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎の急性期の病巣部位にはIL-4やIL-13と呼ばれるサイトカインを産生するTh2細胞(ヘルパーT細胞の一種)が多く集まることが知られています。

従って、アトピー性皮膚炎の初期炎症ではTh2細胞が重要な役割をもっていると考えられています。

 

これらIL-4やIL-13が受容体に結合することで炎症反応が誘発され、アトピー性皮膚炎の症状が発現すると考えられています。

 

IL-4の結合する受容体は、「IL-4受容体α(IL-4Rα)」と「共通γ鎖(γc)」から構成されています。

一方、IL-13の結合する受容体は、「IL-4受容体α(IL-4Rα)」とIL-13受容体α(IL-13Rα)」から構成されています。

 

このように、IL-4とIL-13の結合する受容体は、共に「IL-4受容体α(IL-4Rα)」を有しているといった特徴があります。

 

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎は、皮膚症状の状態によって、軽微、軽症、中等症、重症の4段階に分けられており、それぞれによって治療法が異なります。

 

治療の基本は以下の3つがありますが、最も中心となるのは薬物療法です。

  1. 薬物療法:ステロイド外用薬を中心とした治療
  2. スキンケア:日頃から皮膚を清潔に保ち、保湿状態を保つ
  3. 原因・悪化因子の除去:炎症の原因となる物質・因子を取り除く

ステロイド外用薬は「最強」「とても強い」「強い」「弱め(ミディアム)」「弱い」という5段階がありますが、アトピー性皮膚炎の重症度に応じて、それぞれ使い分けられています。

その他には、かゆみを抑えるために、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を内服したりもします。

 

このような治療を行っても改善が認められないこともしばしばあり、ステロイド薬の内服や免疫抑制薬(シクロスポリン)の内服が行われることもあります。

しかしながら、シクロスポリンには腎臓への悪影響などが懸念されており、長期間使用するのが難しいといった問題点も指摘されていました。

 

今回ご紹介するデュピクセントは、ステロイド外用薬等で改善が認められなかった(効果不十分な)アトピー性皮膚炎に使用できる薬剤です!

 

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デュピクセント(一般名:デュピルマブ)の作用機序

デュピクセントは、Th2細胞が産生する「IL-4」と「IL-13」の結合する受容体のIL-4受容体α(IL-4Rα)を特異的に阻害する完全ヒト化モノクローナル抗体薬です!

 

IL-4RαIL-4とIL-13が結合する共通の受容体のため、デュピクセントはIL-4とIL-13の受容体への結合を共に阻害することが可能となります!

その結果、アトピー性皮膚炎の症状を改善するといった作用機序です。

 

デュピクセントは、ステロイド外用薬などの抗炎症外用薬で効果不十分な中等症から重症のアトピー性皮膚炎に対して、症状の改善が示されています♪

 

デュピクセントの用法・用量

用法・用量は通常、成人には、投与初日に600mgを1回皮下投与し、その後は300mgを2週に1回皮下投与して用います。

 

デュピクセントの副作用

主な副作用として、注射部位反応や結膜炎が認められます。

 

エビデンス紹介(CHRONOS試験)

根拠となった臨床試験の一つであるCHRONOS試験をご紹介します。1)

本試験はストロングクラス以上のステロイド外用薬で効果不十分な中等症から重症アトピー性皮膚炎の患者さんを対象に、デュピクセントを1週間毎に投与する群、デュピクセントを2週間毎に投与する群、プラセボ群、を直接比較する第Ⅲ相臨床試験です。

全ての群はストロングクラスのステロイド外用薬を併用して、52週間治療を行います。

 

主要評価項目は「16週時点のEASI-75達成率」と「16週時点のIGA≦1達成率」で、結果は以下の通りでした。

試験名 CHRONOS試験
試験群 デュピクセント
1週間毎
デュピクセント
2週間毎
プラセボ
16週時点の
EASI-75達成率*
64% 69% 23%
p<0.0001
16週時点の
IGA≦1達成率
39% 39% 12%
p<0.0001

*EASIスコアがベースラインから75%以上改善した患者さんの割合
†IGAスコアが0又は1かつベースラインから2点以上減少を達成した患者さんの割合

 

1)CHRONOS試験:Lancet. 2017 Jun 10;389(10086):2287-2303.

 

薬価

収載時(2018年4月18日)の薬価は以下の通りです。

  • 1筒 81,640円

 

あとがき

アトピー性皮膚炎に対する抗体製剤としてはデュピクセントが初です。

これまで、テロイド外用薬などの抗炎症外用薬で効果不十分なアトピー性皮膚炎では、効果的な薬剤がありませんでしたが、デュピクセントによって、患者さんのQOL向上が期待できるかと思います。

 

以上、今回はアトピー性皮膚炎の新薬であるデュピクセント皮下注をご紹介しました^^

 
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