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ダラザレックス(ダラツムマブ)の作用機序【多発性骨髄腫】

更新日:

2019年8月22日、ダラザレックス点滴静注(一般名:ダラツムマブ)未治療の「多発性骨髄腫」にも使用可能となる適応拡大が承認されました!

ニュースリリース|ヤンセンファーマ

基本情報

製品名ダラザレックス点滴静注100mg/400mg
一般名ダラツムマブ(遺伝子組換え)
製品名の由来特になし
製造販売ヤンセンファーマ(株)
効能・効果多発性骨髄腫

 

ダラザレックスは「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果として2017年9月27日に承認されましたが、今回、未治療の場合にも使用可能となったことから効能・効果は「多発性骨髄腫」に変更されています。

 

今回は多発性骨髄腫とダラザレックス(ダラツムマブ)の作用機序についてご紹介します。

 

多発性骨髄腫について

通常、人の体内では、異物(ウイルス・細菌など)が侵入した際、B細胞から免疫グロブリン(抗体)が作られることで体を異物から守って感染症等を抑えてくれています。

 

多発性骨髄腫では、この抗体を産生するB細胞が異常増殖(腫瘍化)することで引き起こされる疾患で、血液腫瘍に分類されています。

がん化したB細胞(“骨髄腫細胞”と呼ばれます)は、健康な血液の産生を妨げたり、骨をもろくするなどのさまざまな障害を引き起こします。

 

その結果、症状として、

  • 骨痛
  • 腎機能障害
  • 貧血
  • 易感染性
  • 出血傾向

などがみられます。

 

またこの骨髄腫細胞の表面には、「CD38」と呼ばれるシグナル伝達分子が過剰に発現していることも知られています。

 

多発性骨髄腫の治療

多発性骨髄腫の治療は造血幹細胞移植が可能かどうか、によって選択肢が異なります。1)

  • 移植が可能:ボルテゾミブ+デキサメタゾン等を3~4回施行し、奏効すれば造血幹細胞移植
  • 移植が不能:MPB療法*やMPT療法*等が標準治療

 

*参考

  • MPB療法:ボルテゾミブ+メルファラン+プレドニゾロン
  • MPT療法:レナリドミド+メルファラン+デキサメタゾン

 

移植が成功したとしても一定数の患者さんは残念ながら再発してしまいます。また、移植が不能でMPB療法やMPT療法を行ったとしても不応(難治性)となる場合もあります。

 

今回ご紹介するダラザレックス再発・難治性の多発性骨髄腫に使用できる薬剤です。

 

そして今後は移植が不能な場合の初回治療として、MPB療法にダラザレックスを併用した治療も使用可能ですね。

 

ダラザレックス(ダラツムマブ)の作用機序

ダラザレックスは、骨髄腫細胞の表面にある「CD38」に特異的に結合する抗体製剤です。

 

ダラザレックスが目印となって免疫細胞が攻撃しやすくなったりすること(ADCC活性)によって、抗腫瘍効果を発揮すると考えられています。

ダラザレックス(ダラツムマブ)の作用機序

 

その他にも以下の作用によって腫瘍細胞を排除すると考えられています。

  • CDC(補体依存性細胞傷害)作用:補体系が活性化し、腫瘍細胞が障害される
  • ADCP(抗体依存性細胞貪食)作用:貪食細胞が腫瘍細胞を貪食する

 

エビデンス紹介①:再発・難治性(CASTOR試験・POLLUX試験)

再発・難治性の根拠となった臨床試験(CASTOR試験・POLLUX 試験)をご紹介します。2-4)

いずれも再発・難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、以下の治療にダラザレックスを併用した場合の有効性・安全性を検証した第Ⅲ相臨床試験です。

  • CASTOR試験2-3):ボルテゾミブ+デキサメタゾン(Bd療法)
  • POLLUX 試験4):レナリドミド+デキサメタゾ(Ld療法)

 

いずれの臨床試験も主要評価項目は「無増悪生存期間」です。

試験名CASTOR試験POLLUX 試験
試験群Bd療法ダラザレックス+
Bd療法
Ld療法ダラザレックス+
Ld療法
無増悪生存期間中央値7.1か月16.7か月18.4か月未到達
HR=0.31、p<0.0001HR=0.37、p<0.001

 

このように再発・難治性の多発性骨髄腫患者さんの治療(Bd療法 or Ld療法)にタラザレックスを併用することで増悪までの期間を有意に延長することが示されています。

 

エビデンス紹介②:初回治療(ALCYONE試験)

初回治療の根拠となった臨床試験(ALCYONE試験)をご紹介します。5)

移植が不能な多発性骨髄腫患者さんを対象に、標準治療のMPB療法タラザレックス+MPB療法を比較した第Ⅲ相臨床試験です。

 

本試験の主要評価項目は「無増悪生存期間」です。

MPB療法タラザレックス+
MPB療法
無増悪生存期間中央値18.1か月未到達
HR=0.50、p<0.001

 

木元 貴祥
初回治療においてもMPBにタラザレックスを併用することで無増悪生存期間を有意に延長させることが確認されました。

 

副作用

主な副作用として、インフュージョンリアクション、好中球減少、上気道感染、疲労、咳嗽などが報告されています。

 

インフュージョンリアクションの発現率が高いことから、投与時には以下の対処が必要です。6)

本剤投与によるinfusion reactionを軽減させるために、本剤投与開始1~3時間前に副腎皮質ホルモン、解熱鎮痛剤及び抗ヒスタミン剤を投与すること。

また、遅発性のinfusion reactionを軽減させるために、必要に応じて本剤投与後に副腎皮質ホルモン等を投与すること。

なお、慢性閉塞性肺疾患若しくは気管支喘息のある患者又はそれらの既往歴のある患者には、本剤の投与後処置として気管支拡張薬及び吸入ステロイド薬の投与を考慮すること。

 

収載時の薬価

収載時(2017年11月22日時点)の薬価は以下の通りです。

  • 100mg 5mL 1瓶:51,312円
  • 400mg 20mL 1瓶:184,552円(1日薬価:20,053円)

 

まとめ・あとがき

ダラザレックスはこんな薬

  • 腫瘍細胞のCD38を特異的に認識する抗体製剤
  • ADCC作用、DCD作用、ADCP作用によって抗腫瘍効果を発揮する
  • 初回治療から使用可能

 

最近、新規のプロテアソーム阻害剤のニンラーロ(一般名:イキサゾミブ)が承認・発売されていますが、ニンラーロとの併用は現時点ではできません

血液
ニンラーロ(イキサゾミブ)の作用機序【多発性骨髄腫】

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治療選択肢が広がったため、患者さんにとっては朗報ではないかと考えます。今後は各薬剤の使い分け等が検討されれば興味深いと感じます☆

 

引用文献・資料等

  1. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版 第2版
  2. CASTOR試験:N Engl J Med. 2016 Aug 25;375(8):754-66.
  3. CASTOR試験(追加解析):Haematologica. 2018 Sep 20. pii: haematol.2018.194118.
  4. POLLUX試験:N Engl J Med. 2016 Oct 6;375(14):1319-1331.
  5. ALCYONE試験:N Engl J Med. 2018 Feb 8;378(6):518-528.
  6. ダラザレックス 添付文書

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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