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タリージェ(ミロガバリン)の作用機序:リリカ・サインバルタとの違い【神経障害性疼痛】

更新日:

末梢性神経障害性疼痛」を効能・効果とするタリージェ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg、同錠15mg(一般名:ミロガバリンベシル酸塩)2019年1月8日に承認されました!

基本情報

製品名タリージェ錠
一般名ミロガバリンベシル酸塩
製品名の由来Targeting を由来とした“Tar”、Ligand を由来とした“Lig”を組み合わせ、「タリージェ (Tarlige)」とした。
製造販売第一三共(株)
効能・効果末梢性神経障害性疼痛
用法・用量初期用量1回5mgを1日2回経口投与し、その後1回用量として5mgずつ1週間以上の間隔をあけて漸増し、1回15mgを1日2回経口投与する。
なお、年齢、症状により1回10mgから15mgの範囲で適宜増減し、1日2回投与する。
収載時の薬価タリージェ錠2.5mg:78.00円
タリージェ錠5mg:107.70円
タリージェ錠10mg:148.70円(1日薬価:446.10円)
タリージェ錠15mg:179.60円

 

タリージェはα2δ(アルファ2デルタ)に結合することで効果を発揮しますので、リリカ(一般名:プレガバリン)と同じ作用機序ですね。

 

今回は神経障害性疼痛とタリージェ(ミロガバリン)の作用機序、そしてリリカやサインバルタとの違いについて考察したいと思います。

 


神経障害性疼痛とは

何らかの原因によって神経が障害されることで痛み(疼痛)を感じてしまうもの総称して神経障害性疼痛と呼んでいます。

 

その原因は多岐に渡り、

  • 外傷性(手術や怪我で神経が障害)
  • 感染性(感染によって神経が障害)
  • 栄養代謝性(アルコールや栄養障害、糖尿病等による)
  • 中毒性(化学療法やヒ素、水銀中毒による)
  • 腫瘍性(がんが神経を圧迫)
  • 圧迫/絞扼性(三叉神経痛やヘルニア等による)

など様々な原因が挙げられます。1)

 

また障害を受ける神経が中枢(脳や脊髄)末梢(手足などの末端)かによっても分類されます。

末梢性神経障害性疼痛の代表例としては以下があります。

  • 糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)
  • 帯状疱疹後神経痛(PHN)
  • 椎間板ヘルニアによる慢性疼痛

神経障害性疼痛とは

 

今回ご紹介するタリージェはDPNPとPHNに使用可能です。

新薬情報
タリージェは末梢性のみに使用可能ですね。類薬のリリカは末梢性・中枢性共に使用可能です(後述)。

 

神経障害性疼痛の症状(DPNPとPHN)

神経障害性疼痛は障害を受けた神経の箇所によって症状が様々です。

 

糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)は糖尿病の3大合併症の一つです。

初期に足にぴりぴりとした痛みを感じ、進行すると手にもしびれや痛みを感じるようになります。

さらに進行すると激しい痛みや灼熱感、感覚鈍麻も起こります。

 

帯状疱疹後神経痛(PHN)は帯状疱疹が治癒した後にも痛みが残ることを言います。

  • 針で刺すような痛み
  • 灼熱感
  • 電撃痛
  • 触れるだけで痛みが生じる

などが代表的な症状です。

 

神経障害性疼痛の治療

神経障害性疼痛の治療目標は痛みの緩和のため薬物療法が基本ですが、加えてリハビリなどの機能訓練が行われることもあります。

 

ガイドライン1)で第一選択薬として推奨されているのは以下の薬剤です。

  • リリカ(一般名:プレガバリン):推奨度・エビデンスレベル⇒1A
  • サインバルタ(一般名:デュロキセチン):推奨度・エビデンスレベル⇒1A
  • 三環系抗うつ薬のトリプタノール(一般名:アミトリプチリン)など:推奨度・エビデンスレベル⇒1B

 

サインバルタはSNRIに分類されており、うつ病に対しても使用可能です。

 

それではここからタリージェの作用機序に関連する疼痛のメカニズムと神経伝達物質について詳しく説明します。

 

タリージェ(ミロガバリン)の作用機序:Caチャネルと神経伝達物質

神経障害による疼痛は、以下の神経伝達物質が過剰に放出されることで引き起こされると考えられています。

  • サブスタンスP
  • グルタミン酸
  • カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)

 

神経前シナプスの電位依存性カルシウムイオン(Ca2+)チャネルから流入したCa2+により神経が興奮して上記の神経伝達物質が放出されます。

神経障害による疼痛の発生機序

 

またCa2+チャネルはいくつかのサブユニットから構成されていますが、タリージェはその中でもα2δサブユニットに結合する薬剤です!

α2δサブユニットに結合することでCa2+チャネルの働きが抑制され、Ca2+の流入が低下します。

タリージェ(ミロガバリン)の作用機序

 

その結果、神経伝達物質の放出が抑制されて疼痛緩和効果が得られると考えられます。

 

エビデンス紹介:国内第Ⅲ相臨床試験

根拠となった臨床試験として、糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)と帯状疱疹後神経痛(PHN)を対象とした2つの第Ⅲ相臨床試験があります。2)

 

いずれの試験においてもプラセボと比較し、タリージェ(20mg/日または30mg/日)を比較検討しています。

主要評価項目は「14週時点のベースラインからの疼痛スコアの変化量」です。

臨床試験DPNPを対象3)PHNを対象
試験群プラセボタリージェ
20mg/日
タリージェ
30mg/日
プラセボタリージェ
20mg/日
タリージェ
30mg/日
14週時点のベースラインからの
疼痛スコアの変化量
-1.31±0.095-1.47±0.135-1.81±0.136-1.20±0,099-1.68±0.141-1.97±0.137
-差:-0.15
p=0.3494
差:-0.50
p=0.0027
-差:-0.47
p=0.0058
差:-0.77
p<0.0001

 

DPNPではタリージェ30mg/日群でのみプラセボとの差が確認されていますが、PHNでは両群ともにプラセボよりも有意に疼痛スコアの改善が認められていますね。

 

参考:DPNPの第Ⅲ相臨床試験は論文(J Diabetes Investig)にも掲載されています。3)

 

副作用

主な副作用として、傾眠、浮動性めまい、体重増加などが報告されています。

 

添付文書にも以下の記載がありますので傾眠には注意が必要ですね。2)

(1)めまい、傾眠、識消失等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。特に高齢者ではこれらの症状により転倒し骨折等を起こすおそれがあるため、十分に注意すること。

(2)本剤の投与により体重増加を来すことがあるので、肥満に注意し、肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと。特に、投与量の増加又は長期投与に伴い体重増加が認められることがあるため、定期的に体重計測を実施すること。

 

用法・用量

初期用量として1回5mgを1日2回経口投与します。

その後1回用量として5mgずつ1週間以上の間隔をあけて漸増し、維持用量として1回15mgを1日2回経口投与します。

 

タリージェとサインバルタ・リリカの違い

神経障害性疼痛の第一選択薬として使用できる薬剤にはリリカやサインバルタがあります。

 

作用機序や効能・効果、禁忌等が異なりますので、以下に一覧表としてまとめてみました(2019.4.10時点)。

神経障害性疼痛に使用するタリージェ・リリカ・サインバルタの比較・一覧表

 

効能・効果の広さ

効能・効果の幅の広さから言えば、リリカやサインバルタの方が使いやすそうですね。

タリージェは末梢性に限定されていますが、今後は中枢性への適応拡大も期待したいと思います。

 

用法・相互作用等

タリージェとリリカは1日2回投与ですが、サインバルタは1日1回の投与のためコンプライアンス・アドヒアランスは良さそうです。

一方、禁忌項目や相互作用を見てみると、サインバルタは制限が多いのが難点です。禁忌や相互作用をあまり気にせず使用できるのはタリージェとリリカですね。

 

臨床効果(タリージェとリリカ)

参考までに海外のDPNPを対象とした第Ⅱ相試験(プラセボ vs. リリカ vs. タリージェ)4)では、「1日の平均疼痛スコアのベースラインからの変化量」を主要評価項目として検討されています。

結果、タリージェの方が良さそうな書き方でしたが、あくまで第Ⅱ相試験、かつ日本人ではないため確定的なことは言えなさそうですね・・・。

 

新薬情報
今後は第Ⅲ相試験等で検討されることを期待したいと思います!

 

薬価

収載時(2019年2月26日)の薬価は以下の通りです。

  • タリージェ錠2.5mg:78.00円
  • タリージェ錠5mg:107.70円
  • タリージェ錠10mg:148.70円(1日薬価:446.10円)
  • タリージェ錠15mg:179.60円

 

算定方法等については以下の記事をご参照ください。

>>【新薬:薬価収載】13製品+再生医療等製品(2019年2月26日)

 

まとめ・あとがき

タリージェはこんな薬

  • α2δサブユニットに結合し、神経伝達物質の放出を抑制する
  • 同様の作用機序を有する類薬はリリカ(プレガバリン)
  • 傾眠には注意が必要

 

神経障害性疼痛はQOLが低下しやすいため、出来る限りの疼痛コントロールが重要です。

治療選択肢が増えることは患者さんにとっては朗報ではないでしょうか。

 

今後はリリカやサインバルタとの使い分けや効果・安全性の検討等が行われれば興味深いですね。

 

以上、今回は神経障害性疼痛とタリージェ(ミロガバリン)の作用機序についてご紹介しました!

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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