10.皮膚・骨格筋

ZOLGENSMA(AVXS-101)の作用機序・特徴【脊髄性筋委縮症】

更新日:

2018年11月、「脊髄性筋委縮症」を予定効能・効果とするZOLGENSMA(開発コード:AVXS-101)の製造販売承認申請が行われました。

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名不明。海外では「ZOLGENSMA」
一般名不明
製造販売ノバルティス・ファーマ(株)
効能・効果不明
用法・用量不明
収載時の薬価薬価未収載

 

脊髄性筋委縮症の治療薬には2017年に承認されたスピンラザ髄注(一般名:ヌシネルセン)しかなく、髄注かつ4~6か月毎の投与が一生涯必要でした。

今回ご紹介するZOLGENSMA(AVXS-101)は、1回の静脈内投与で治療が完結する遺伝子置換療法です!

 

日本では再生医療等製品に分類されており、「先駆け審査指定制度」の指定品目でもあります。

今回は脊髄性筋委縮症とZOLGENSMA(AVXS-101)の作用機序・特徴についてご紹介します。

 


脊髄性筋委縮症とは

脊髄性筋萎縮症は、遺伝的要因により、脊髄等の運動神経細胞(運動ニューロン)が変性・脱落することで、筋収縮刺激がうまく伝達できなくなる疾患です。

そのため、筋力の低下・委縮や筋無力を引き起こし、進行して重篤になると、呼吸や嚥下など生命維持のための基本的な身体機能に支障をきたす恐れがある難病指定の神経変性疾患です。

 

原因としては、5番染色体にある運動神経細胞生存(SMN)遺伝子の変異によると考えられています。

 

正常なSMN遺伝子(SMN1遺伝子)からは、正常な活性を有するSMNタンパク質が合成されます。

しかし、遺伝子のエキソン7に変異のあるSMN2遺伝子を持っている場合、mRNA前駆体のスプライシング過程でイントロンと一緒にエキソン7が切り取られてしまい、活性のない異常SMNタンパク質が合成されてしまいます。

脊髄性筋委縮症とSMN1/SMN2遺伝子

 

参考

  • エキソン:タンパク質情報がコードされている配列
  • イントロン:タンパク質情報がコードされていない配列
  • スプライシング:イントロンが取り除かれ、エキソンのみの配列にする過程
  • 転写:遺伝子(DNA)からmRNA前駆体が合成される過程
  • 翻訳:mRNAからタンパク質が合成される過程

 

SMN2遺伝子によって活性のない異常SMNタンパク質が合成されることで、運動神経細胞が変性し、脊髄性筋委縮症が発症すると考えられています。

 

また脊髄性筋萎縮症には以下の型が知られています。

  • Ⅰ型:重症型、急性乳児型
  • Ⅱ型:中間型、慢性乳児型
  • Ⅲ型:軽症型、慢性型
  • Ⅳ型:成人型

 

脊髄性筋委縮症の症状

全ての型で

  • 筋力低下
  • 筋萎縮
  • 深部腱反射の減弱・消失

などが認められます。

 

特にⅠ型は生後6か月ごろまでに発症しますが、すぐに運動発達が停止し、体を動かすこともできません。Ⅰ型を発症すると、平均6~9か月で死に至り、18か月までには95%が死亡すると推定されています。

 

脊髄性筋委縮症の治療

症状に対する対症療法(経管栄養、胃廔、人工呼吸、リハビリなど)が基本でした。

 

2017年には「アンチセンス核酸医薬品」のスピンラザ髄注12mg(一般名:ヌシネルセンナトリウム)が承認されて使用可能となっていますが、髄注かつ4~6か月毎の投与が一生涯必要でした。

 

しかし今回ご紹介するZOLGENSMA(AVXS-101)は、1回の静脈内投与で治療が完結する遺伝子置換療法です!

 

ZOLGENSMA(AVXS-101)の作用機序・特徴

ZOLGENSMA(AVXS-101)の中身(構造)は、正常なヒトSMN1遺伝子(二本鎖DNA構造)を「自己相補型アデノ随伴ウイルス9型(scAAV9)」と呼ばれるウイルスの殻(カプシド)で包んだ構造をしています。

ZOLGENSMA(AVXS-101)の構造:scAAV9

 

SMNタンパク質産生細胞は中枢神経(脊髄等)に存在していますが、静脈内に投与されたZOLGENSMA (AVXS-101)は血液脳関門(BBP)を通過し、脊髄に到達します。

 

標的細胞内(SMNタンパク質産生細胞)に侵入すると、すぐに正常なヒトSMN1遺伝子(二本鎖DNA構造)が放出されて遺伝子のみが核内に移行します。そして標的のDNA配列の箇所に遺伝子が導入(挿入)されていくといった特徴があります。

 

つまり、scAAV9の中にある正常なヒトSMN1遺伝子がSMNタンパク質産生細胞のDNAに取り込まれ、正常なSMNタンパク質が産生されるようになります。

 

ZOLGENSMA(AVXS-101)の作用機序と特徴

 

新薬情報
このように1回の静脈内投与のみで正常SMN1遺伝子がDNAに組み込まれるため、これで治療が完了します!

 

エビデンス紹介:海外の臨床試験

国内の臨床試験情報は不明ですが、海外のⅠ型患者さんを対象とした第Ⅰ相臨床試験を紹介します。1)

本試験はⅠ型患者さんを対象にZOLGENSMA(AVXS-101)単回静脈内投与の安全性と有効性を確認した臨床試験です。

 

15名の患者さんが登録されましたが、20か月時点では全員にイベントフリーな生存(恒久的な換気補助無しの生存)が認められていました。

 

用法・用量

正式承認後に更新予定です。

基本的には単回の静脈内投与で治療が完結します。

 

副作用

前述の臨床試験1)では、ASTやALT増加といった肝機能異常が認められていました。

 

薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

ZOLGENSMA(AVXS-101)はこんな薬

  • 1回の静脈内投与で治療が完結する遺伝子置換療法
  • アデノウイルスを利用して遺伝子を置換させる
  • 生成医療等製品に分類されている

 

これまで脊髄性筋委縮症には対症療法しか治療選択肢がありませんでしたが、2017年のスピンラザ髄注(一般名:ヌシネルセン)の登場によってその治療体系が変わりつつありました。

 

新薬情報
今回ご紹介したZOLGENSMA(AVXS-101)も新規の作用機序を有するため、今まで難病であった脊髄性筋委縮症にも光が差すかもしれませんね。

 

正式承認後に記事は更新予定ですので、楽しみに待ちたいと思います☆

以上、今回は脊髄性筋委縮症と遺伝子置換療法であるZOLGENSMA(AVXS-101)の作用機序・特徴についてご紹介しました!

現時点では未承認のためご注意ください。

 

引用文献・資料等

  1. N Engl J Med 2017; 377:1713-1722
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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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