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ステミラック注(骨髄由来間葉系幹細胞)の作用機序・特徴【骨髄損傷】

更新日:

厚労省の薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会は2018年11月21日、「脊髄損傷に伴う神経症候及び機能障害の改善(ただし、ASIA機能障害尺度がA、B、Cの患者に限る)」を効能・効果とするステミラック注(一般的名称:ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞)の承認を了承しました!

現時点では未承認のためご注意ください。また、承認期限は7年間と期限付きの限定承認となる予定です。

製薬会社

製造販売元(仮):ニプロ(株)

 

ステミラックは脊髄損傷の治療として初の間葉系幹細胞を用いた「再生医療等製品」で、これまでにない新規性(世界初!)を有している製品です!

 

また本剤は2016年に「先駆け審査指定制度」の対象に指定されており、2018年6月に承認申請が行われていました。

再生医療等製品版の先駆け審査指定制度では初の承認となる見込みです!

 

今回は脊髄損傷とステミラック注の作用機序・特徴についてご紹介します。

 

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脊髄損傷とその症状・合併症

脊髄は、脳の延髄から背骨の中に通っている中枢神経です。

ヒトの様々な動きや知覚、自律神経などは全て脊髄の神経によって支配されています。

この脊髄が何らかの原因で損傷を受けてしまうことを「脊髄損傷」と呼んでいます。

 

日本脊髄障害医学会の1990年~1992年の調査では、脊髄損傷の主な受傷原因の割合は以下の通りでした。

  1. 交通事故:43.7%
  2. 高所所からの落下:28.9%
  3. 転倒:12.9%
  4. 打撲・下敷き:5.5%
  5. スポーツ:5.4%
  6. その他:3.6%

ただし、20年程前のデータのため、現在とは割合が若干変わっている可能性があります。

 

また脊髄の損傷の具合によって完全損傷と不完全損傷があります。

  • 完全損傷:脊髄機能が完全に失われた状態
  • 不完全損傷:脊髄機能の一部が失われた状態

 

主な症状は麻痺や運動・知覚機能の消失(完全損傷の場合)や、痙攣・運動機能障害(不完全損傷の場合)があります。

 

重症度の指標として「ASIA(アメリカ脊髄障害協会)機能障害尺度」があり、最も重度のA(完全麻痺)から正常のEまで分類されています。

ステミラックはASIA機能障害尺度がA、B、Cの患者さんに使用可能です!

 

その他、脊髄の様々な神経が障害されるため各種の合併症が起こることもあります。

  • 呼吸器合併症:呼吸困難など
  • 循環器合併症:徐脈や起立性低血圧など
  • 消化器合併症:胃潰瘍・十二指腸潰瘍など
  • 泌尿器合併症:尿路感染症や敗血症など

 

脊髄損傷の治療

治療の基本は手術リハビリテーションが基本です。

手術は物理的に脱臼したり折れたりした箇所を修復することが可能ですが、脊髄の神経が障害を受けている場合、手術では修復不可です。

 

またリハビリテーションも日常生活の補助となりますが、根治的ではありません。

従って、脊髄の神経の障害を治すような新たな治療が望まれていました。

 

今回ご紹介するステミラックは「再生医療等製品」に分類されている新規の治療法です。

それではステミラックに関連する「脊髄間葉系幹細胞」について説明します。

 

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脊髄間葉系幹細胞とは

脊髄の中には赤血球や白血球などの「血球成分」と、その元となる「造血幹細胞」がそのほとんどを占めて存在しています。

 

骨髄間葉系幹細胞とは骨髄中の0.1%に存在している細胞で、主な働きは以下があります。

  • 間葉系細胞(骨、血管、脂肪細胞、心筋細胞など)への分化
  • 神経細胞への分化

※「分化」とは、その細胞へ成長・成熟することを言います。

 

このように骨髄間葉系幹細胞は様々な細胞に分化する能力を有することから、再生医療として期待されていました。

 

ステミラック注(骨髄由来間葉系幹細胞)の作用機序・特徴

ステミラックは患者さん自身の脊髄から骨髄間葉系幹細胞を採取し、それを培養した後に患者さんの体内に戻すといった再生医療等製品です。

 

まず、脊髄損傷受傷後31日以内を目安に患者さんの脊髄(腸骨)から局所麻酔下で骨髄液を採取します(下図①)。

これを専門のセンターに送り、骨髄間葉系幹細胞を約2週間で約1万倍にまで培養します(下図②)。

培養により約1億個となった骨髄間葉系幹細胞を30分から1時間かけて静脈内投与により患者さんの体内に投与します(下図③)。

 

投与された骨髄間葉系幹細胞は

  • 損傷した脊髄周囲の血管新生や抗炎症作用
  • 脊髄神経の再生

によって神経症候や機能障害の改善効果を示すと考えられています。

 

このように採取は骨髄(腸骨)からですが、投与する際には静脈に投与できるため、患者さんの負担や侵襲性もあまり大きくはないのが特徴です。

 

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エビデンス紹介

後日更新予定です。

ASIA機能障害尺度がA、B、Cの患者さんを対象にした少数例での臨床成績しか報告されていないようですので、今後長期の有効性や安全性の確認が望ましいなと感じます。

 

承認期限が7年間ですので、その間にステミラック投与群とリバビリなどの治療を受けた群を比較評価して、本承認に向けて申請するようです。

 

ステミラック注の副作用

後日更新予定です。

 

ステミラック注の保険収載(薬価?)

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

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まとめ・あとがき

ステミラックはこんな製品

  • 脊髄損傷の治療として初の間葉系幹細胞を用いた再生医療等製品
  • 患者さん自身の骨髄間葉系幹細胞によって損傷神経の再生を促す
  • 7年間の限定承認(予定)

 

ステミラックは2016年に「先駆け審査指定制度」の対象に指定されており、非常に期待されていた治療です。

 

脊髄損傷では治療選択肢が限られ、合併症の問題もあることから新規の治療が望まれていました。

ステミラックによって患者さんのQOL向上や予後向上に繋がればいいなと感じます♪

 

以上、今回は脊髄損傷とステミラック注の作用機序・特徴についてご紹介しました!

参考になったらシェアいただけると嬉しいです!
   

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

大阪薬科大学 卒。外資系製薬メーカー(MR)、薬剤師国家試験予備校講師、調剤薬局薬剤師を経て現在に至る。今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師です。薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。FP資格あり。

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