1.中枢神経系

ビザミル(フルテメタモル)の作用機序【アルツハイマー検査薬】

厚労省は2017年9月27日、「アルツハイマー型認知症が疑われる認知機能障害を有する患者の脳内アミロイドベータプラークの可視化」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品のビザミル静注(一般名:フルテメタモル(18F))を承認したと発表がありました!

 

その後、2023年8月31日には、アルツハイマー型認知症の新薬であるレケンビ(レカネマブ)の登場に合わせて、「アルツハイマー病による軽度認知障害又は認知症が疑われる患者の脳内アミロイドベータプラークの可視化」に対する適応拡大が承認されています。

レケンビ(レカネマブ)の作用機序【アルツハイマー型認知症】

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本日はアルツハイマー型認知症とビザミル(フルテメタモル)の作用機序についてご紹介します^^

 

物忘れとアルツハイマー型認知症

物忘れには「加齢」によるものと「認知症」が原因となるものがあります。

加齢によるものは、脳の生理的な老化が原因で起こり、その程度は一部の物忘れであり、ヒントがあれば思い出すことができます。

本人にも自覚はありますが、進行することはなく、日常生活にも支障は無いと言われています。

 

一方、認知症は、脳の神経細胞の急激な破壊により起こり、物事全体がすっぽりと抜け落ち、ヒントがあっても思い出すことができません

本人に自覚はないことが一般的で、進行性かつ日常生活に支障をきたします。

 

このような認知症の中でも最も多いのが「アルツハイマー型認知症」で、認知症全体の約6割を占めています。

一般的に認知症=アルツハイマーと認識をされる方も多いと思いますが、認知症の中には、脳血管障害によって発現するものや、レビー小体と呼ばれる物質によって発現するもの、等もあります。

 

アルツハイマー型認知症の原因と検査

アルツハイマー型認知症は、脳内の神経細胞に「アミロイドβ」や「タウ」と呼ばれる特殊なタンパク質が溜まって神経細胞が死んでしまうことによって認知障害が起こると考えれています。

 

従って、これらの特殊なタンパク質を検出することは、アルツハイマー型認知症の診断において有用な情報のひとつとされています。

 

現時点では、「タウ」を検出することはできませんが、「アミロイドβ」の検出は、検査薬とPET検査を行うことで可能です。

 

ビザミル静注の作用機序

本日ご紹介するビザミルは、脳内のアミロイドβに特異的に結合して、放射性同位体を放出することにより、PET検査でアミロイドβを検出することができる検査薬です!

 

これまで、ビザミルは各医療機関で「FASTlab(ファストラボ)」と呼ばれる医療機器を使用して合成する必要がありました。

そのため、この医療機器を使用できる設備がない医療機関では、アミロイドβを検出することができませんでした。

 

ビザミル静注は、既に合成されたビザミルを含んだ薬剤のため、「FASTlab」が無い施設においてもアミロイドβの検査が実施できるように開発された薬剤です☆

 

同様の作用機序の薬剤には、2016年12月に承認されたアミヴィッド静注(一般名:フロルベタピル(18F))があります。

 

医療従事者にとっては、いちいち合成する必要がなくなるため、より簡便なアミロイドβ検査が行えると思います^^

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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