5.内分泌・骨・代謝系

フォシーガ(ダパグリフロジン)の作用機序と副作用【糖尿病】

更新日:

2019年3月26日フォシーガ錠5mg、同10mg(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)の効能・効果に「1型糖尿病」が追加されました!

基本情報

製品名フォシーガ錠
一般名ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物
製品名の由来患者のため、患者家族のため、医師のためをあらわす「for」と、
inhibit glucose absorption(糖の吸収を阻害する)の頭文字「iga」を
掛け合わせる(x)ことで、他の血糖降下薬にはない新たな作用であることを表現している。
製薬会社製造販売:アストラゼネカ(株)
販売:小野薬品工業(株)
効能・効果1型糖尿病
2型糖尿病
用法・用量<1型糖尿病>
インスリン製剤との併用において、ダパグリフロジンとして5mgを1日1回経口投与する。
なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら10mg1日1回に増量することができる。
<2型糖尿病>
ダパグリフロジンとして5mgを1日1回経口投与する。
なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら10mg1日1回に増量することができる。

 

フォシーガは既にSGLT2阻害薬として「2型糖尿病」を効能・効果として承認・販売されています。

SGLT2阻害薬の1型糖尿病の適応としては2018年12月に承認されたスーグラ錠(一般名:イプラグリフロジン)に次いで2製品目となりました。

 

今回は、糖尿病とフォシーガ(ダパグリフロジン)の作用機序についてご紹介します。

 


糖尿病とは

平成26年の厚労省調査によると、糖尿病の総患者数は316万6,000人であり、前回の調査よりも46万人以上増加しているようです。

糖尿病はその名の通り、血中ブドウ糖濃度が高い状態が慢性的に継続している病態です。

 

健康診断等で

  • 空腹時血糖値が126mg/dL以上
  • HbA1cが6.5%以上

の場合に疑われ、数回の検査を経て確定診断されます。

 

糖尿病には

  • 遺伝的要因が関与する「1型糖尿病
  • 生活習慣などが関与する「2型糖尿病

に分類されています。

 

日本人では90%以上が「2型糖尿病」に分類されており、食生活・運動不足・肥満等が原因で、以下の理由で引き起こされると考えられています。

  • インスリンの分泌低下:インスリン量が減っている
  • インスリンの抵抗性増大:インスリンの効きが悪くなっている

 

1型糖尿病は遺伝的要因や自己免疫等によって、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が欠損・破壊されている状態です。

従って、インスリンが全く分泌されなくなるため、治療の基本はインスリンの補充療法です。

 

フォシーガはこれまで2型糖尿病のみに使用可能でしたが、1型糖尿病に対しても使用可能となりました!

 

糖尿病の治療:1型と2型

2型糖尿病治療

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法

を基本としますが、最も大切なのは食事療法運動療法です。

食事/運動療法を2~3カ月続けても血糖値が下がらない場合、薬物療法が開始されます。

 

一方、1型糖尿病ではインスリンの補充療法が中心的です。

インスリン補充療法によって基本的にはコントロール可能ですが、

  • 低血糖症のリスク
  • コントロール不良な場合の治療法
  • 体重増加

などが課題として懸念されています。

 

今回ご紹介するフォシーガはインスリン補充療法でコントロール不良な場合に併用して用います。

 

2型糖尿病の薬物療法

糖尿病治療薬にはいくつかの種類があり、年齢や肥満の程度、合併症、肝・腎機能等によって使い分けられます。

まずは経口血糖降下薬の少量から開始されることが多いです。

 

経口血糖降下薬には以下の種類があり、糖尿病の原因(インスリン分泌低下、抵抗性増大)によって使い分けられます。

 

<インスリン分泌低下を改善>

  • スルホニル尿素(SU)薬:インスリン分泌促進
  • グリニド薬:より速やかなインスリン分泌促進
  • DPP-4阻害薬:インクレチン分解抑制によるインスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制

 

<インスリン抵抗性を改善>

  • ビグアナイド薬:糖新生の抑制
  • チアゾリジン薬:インスリンの感受性を向上

 

加えて、ブドウ糖の吸収を抑制する「α-グルコシダーゼ阻害薬」や、ブドウ糖の排泄を促進する「SGLT2阻害薬」等も使用されます。

 

それでは、SGLT2阻害薬の作用機序についてご紹介します。

 

SGLT2阻害薬の作用機序

通常、血中のブドウ糖は尿中に排泄されません。

その理由として、腎臓の糸球体でろ過された原尿には、血漿と同じ濃度のブドウ糖が含まれていますが、近位尿細管で実に99%以上のブドウ糖が再吸収されます。

 

ようするに、一旦はブドウ糖は糸球体で原尿へ濾過されるももの、そのほとんどが再吸収されて体内(血中)に戻ってきてしまいます。

この原尿中のブドウ糖再吸収を行うトランスポーターは「SGLT2(Sodium-Glucose Transporter 2)」と呼ばれています。

 

SGLT2阻害薬はブドウ糖再吸収に関与するトランスポーターのSGLT2を阻害することで、ブドウ糖の再吸収を抑制する薬剤です。

つまり、SGLT2阻害剤は糖の再吸収を抑える(=糖の排泄を促進する)ことで血糖を低下させるといった作用機序を有しています。

 

このようにSGLT2阻害薬はインスリン作用を介さないため、低血糖や体重増加・肥満といった副作用が発現しにくいといわれています。

 

エビデンス紹介:1型糖尿病を対象にしたDEPICT-1試験(海外)

根拠となった海外臨床試験(DEPICT-1試験)を一つご紹介します。1)

本試験はコントロール不良の1型糖尿病患者さんを対象に、インスリン療法へのフォシーガ追加(5mgもしくは10mg)の有効性と安全性を検討した海外第Ⅲ相臨床試験です。

 

本試験の主要評価項目は「24週後のHbA1c変化率」とされ、プラセボ群と比較した場合の結果は以下の通りでした。

  • フォシーガ 5mg群:-0.42% [95%CI:-0.56~-0.28; p<0.0001]
  • フォシーガ 10mg群:-0.45% [[95%CI:-0.58~-0.31; p<0.0001]

 

いずれの群においてもプラセボと比較してHbA1cを有意に低下させることが示されていますね。

 

その他、DEPICT-2試験においても同様の結果が報告されています。2)

 

副作用

代表的な副作用には頻尿、口渇、便秘、体重減少などがあります。

 

その他、特に注意が必要な副作用には以下があります。

  • 低血糖
  • 脱水
  • 尿路・性器感染症
  • 正常血糖のケトアシドーシス
  • サルコペニア

 

高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れて重症化する恐れもありますので特に注意が必要です!

 

用法・用量

通常、成人にはダパグリフロジンとして5mgを1日1回経口投与します。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら10mgを1日1回に増量することができます。

 

1型糖尿病に使用する際には「あらかじめ適切なインスリン治療を十分に行った上で、血糖コントロールが不十分な場合」に限って「インスリン製剤との併用において」使用可能です。3)

 

まとめ・あとがき

フォシーガはこんな薬

  • SGLT2を阻害することでブドウ糖の排泄を促進する
  • インスリン作用を介さないため、低血糖や肥満のリスクが少ない
  • 1型糖尿病に使用できるSGLT2阻害薬(インスリンと併用して使用する)としてはスーグラに次いで2製品目

 

以上、今回は糖尿病とフォシーガ(ダパグリフロジン)の作用機序についてご紹介しました!

 

現在までに承認されているSGLT2阻害薬の一覧については、単剤/配合剤含めて以下の記事にまとめています。

 

引用文献・資料等

  1. DEPICT-1試験:Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Nov;5(11):864-876.
  2. DEPICT-2試験:Diabetes Care. 2018 Sep;41(9):1938-1946.
  3. フォシーガ錠 添付文書
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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

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