8.感染症

アビガン(ファビピラビル)の作用機序【インフルエンザ/COVID-19】

おススメ記事|薬剤師の稼げる副業3選

2020年10月16日、アビガン錠(ファビピラビル)について、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」を対象疾患とする適応拡大承認申請が行われました!

富士フイルム富山化学|ニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

 

アビガンは元々、2014年3月24日に「新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分のものに限る。)」を効能・効果として承認されています。

 

当初、アビガンはこれまでのインフルエンザ治療薬と異なる作用機序を有している薬剤で注目されていましたが、非臨床試験で胎児への催奇形性が確認されたために、インフルエンザに対しては「緊急事態のみ」にしか使用できません。

 

木元 貴祥
承認されてから国内でインフルエンザの緊急事態は今のところ発生していませんね。。

 

そして2020年。新型コロナウイルス治療薬として期待され、臨床試験を通じて承認申請が行われました!

 

今回は新型コロナウイルスの感染・増殖メカニズムとアビガン(ファビピラビル)の作用機序についてご紹介します。

 

インフルエンザウイルスについてはゾフルーザの記事でアビガンについても紹介していますので、そちらをご参考くださいませ~。

ゾフルーザ(バロキサビル)の作用機序・耐性:類薬との比較【インフルエンザ治療薬】

続きを見る

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とは

2019年末頃、中国の中国湖北省武漢市を中心に原因不明の肺炎ウイルスが発生しました。

 

その後、数カ月で日本を含む全世界にパンデミックを引き起こした原因ウイルスが「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」です。このウイルスによって引き起こされる疾患名として、世界保健機関(WHO) は正式名称を「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)」と発表しました。

「COVID-19」の読み方:コヴィッド・ナインティーン

 

木元 貴祥
ウイルス名がSARS-CoV-2、疾患名がCOVID-19ですね。たまに混同してしまいます(笑)

 

SARSサーズ(Severe acute respiratory syndrome coronavirus:重症急性呼吸器症候群)と言えば、2003年頃に中国を中心に流行したウイルス感染症で、この原因もコロナウイルス(SARS-CoV)でしたね。今回の新型コロナウイルスもSARS-CoVと似ていることからSARS-CoV-2と名付けられています。

 

 

症状としては無症状から風邪様症状(発熱、倦怠感、咳、味覚異常)が多く、重症化することはあまりありません。

しかし、一部、肺炎・呼吸困難・血栓症等、重症化することもあり、特に高齢者や基礎疾患(例:糖尿病心不全COPD等の呼吸器疾患)を持っている方では重症化のリスクが高いと言われています。

 

重症化の可能性や世界的なパンデミックにより、日本においてCOVID-19は2020年1月に感染症法に基づく「指定感染症」及び検疫法に基づく「検疫感染症」に指定されました。

【参考】内閣官房|新型コロナウイルス感染症の指定感染症等への指定について

 

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の増殖メカニズム

コロナウイルスの外観は「コロナ(太陽の光冠)」に似ていることからその名前が付けられています。

分類としては「一本鎖プラス鎖RNAウイルス」で、RNAをゲノムとしているウイルスですね!主にヒトの粘膜上皮細胞に感染します。

 

木元 貴祥
ウイルスの分類・・・いくつかありますが覚えていますか??特徴と代表例はこんな感じですね。1)

 

ちなみに、アデノ随伴ウイルスの仕組みを用いた治療法なんかもありますね。

ゾルゲンスマ(オナセムノゲンアベパルボベク)の作用機序・特徴【脊髄性筋委縮症】

続きを見る

 

プラス鎖というのはゲノムそのものがmRNAとして働くことが可能なもの、マイナス鎖というのはゲノムを鋳型として一旦mRNAを作るものを言います。

 

SARS-CoV-2はプラス鎖の一本鎖RNAウイルスですので、ゲノム自体がmRNAとして働き、ヒト細胞内に侵入するとすぐにウイルスタンパク質の合成が始まりますね。

 

SARS-CoV-2がヒトの粘膜上皮細胞に感染する場合、以下の図のようなプロセスで感染・増殖します。

  1. 吸着・膜融合・脱殻:ヒト細胞内に入る
  2. ゲノム(RNA)の複製とタンパク質合成:ヒト細胞内で増える
  3. 細胞からの遊離:ヒト細胞外へ出て、他の細胞に感染する

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染・増殖メカニズム

 

上記②のRNAの複製過程では、「RNA依存性RNAポリメラーゼ(別名:レプリカーゼ)」と呼ばれるウイルスタンパク質が中心を担っています。

 

アビガン(ファビピラビル)の作用機序:RNAポリメラーゼ阻害

アビガンはRNA依存性RNAポリメラーゼを選択的に阻害するといった作用機序を有しています!2)

ウイルスのゲノム(RNA)の複製がストップすることでヒト細胞内で増殖することができなくなり、結果としてウイルスの増殖抑制効果を発揮すると考えられていますね。

アビガン(ファビピラビル)の作用機序:RNAポリメラーゼ阻害

 

インフルエンザウイルスもRNAポリメラーゼによって「RNA複製」と「mRNAの伸長」が行われていますので、同じ作用機序で効果を発揮すると考えられていますね。

ゾフルーザ(バロキサビル)の作用機序・耐性:類薬との比較【インフルエンザ治療薬】

続きを見る

 

また、重度のCOVID-19に対しては同様の作用機序を有するベクルリー(レムデシビル)が使用されます。2)

ベクルリー(レムデシビル)の作用機序・副作用【COVID-19】

続きを見る

 

木元 貴祥
アビガンは非重篤なCOVID-19に対して治療効果が認められているので、ベクルリーとの使い分けが明確そうですね。

 

エビデンス紹介

根拠となった臨床試験は、非重篤な肺炎を有するCOVID-19患者さんを対象に国内で実施された第Ⅲ相試験です。3)

 

論文等では未公表のため、詳細は後日公開したいと思いますが、主要評価項目「症状(体温、酸素飽和度、胸部画像)の軽快かつウイルスの陰性化までの時間」の結果概要は以下の通りでした。

プラセボ群アビガン群
症状の軽快かつ
ウイルスの陰性化までの時間
14.7日11.9日
p=0.0136

 

木元 貴祥
数字的には3日程、アビガン群の方が改善が早いといった結果ですね。

 

その他の評価項目や副作用については気になるポイントかと思います。

 

適応患者さんの選定

類薬のベクルリーでは適応患者さんの基準が設けられていましたが、アビガンは現状不明です。正式承認後に更新したいと思います。

 

ちなみにベクルリーは重症患者さんを対象としていたことから、原則、ベクルリーは重症患者さんに使用されます。

適格基準と除外基準は以下の通りとされました。

<適格基準>

  • PCR 検査において SARS-CoV-2 が陽性
  • 酸素飽和度が 94%以下、酸素吸入又は NEWS2 スコア4以上
  • 入院中

<除外基準>

  • 多臓器不全の症状を呈する患者
  • 継続的に昇圧剤が必要な患者
  • ALT が基準値上限の5倍超
  • クレアチニンクリアランス 30 mL/min 未満又は透析患者
  • 妊婦

PMDAにおける新型コロナウイルス感染症対策に係る活動についてレムデシビル製剤の使用に当たっての留意事項について

 

副作用:催奇形性に注意

アビガンはインフルエンザウイルス治療薬としては現時点で有効性のエビデンスが限られていることや、非臨床試験では催奇形性が確認されているため、以下のような制限などがあります。

  • 追加臨床試験の実施
  • パンデミック発生まで一般に流通させない
  • 妊婦や妊娠の可能性のある女性への投与回避や投与中と投与後7日間避妊措置を行う安全対策

 

従って、「緊急事態」と国が認めた場合に限って使用が許可される薬剤です。

本剤は、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品である。

 

新型コロナウイルスにおいても同様の注意喚起となるかどうかは現時点では不明ですので、後日更新したいと思います!

 

まとめ・あとがき

アビガンはこんな薬

  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して期待されている
  • インフルエンザウイルスに対しては緊急事態のみと限定付き
  • RNA依存性RNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を抑制する
  • 催奇形性には注意が必要

 

COVID-19はワクチンや有効な治療薬も存在していません。そんな中、ベクルリーの登場、そしてアビガンの申請は非常に朗報かと思います!

ベクルリー(レムデシビル)の作用機序・副作用【COVID-19】

続きを見る

 

木元 貴祥
ただし、副作用のリスクも十分に検討されていないことに注意が必要です。

 

以上、今回は新型コロナウイルス治療薬として期待されているアビガン(ファビピラビル)の作用機序について解説しました。

 

副業をしていない薬剤師は損?

薬剤師の副業 本当に稼げるおススメ3選と注意事項を解説!

続きを見る

失敗しない薬剤師の転職とは?

数多く存在する薬剤師専門の転職エージェントサイト

どこに登録したらいいのか悩むことも少なくありません。そんな転職をご検討の薬剤師さんに是非見ていただきたい記事を公開しました。

  • 新薬情報オンラインの薬剤師2名が実際に利用・取材!
  • 各サイトの特徴等を一覧表で分かりやすく掲載!
  • 絶対にハズレのない厳選の4サイトを解説!

上手に活用してあなたの希望・条件に沿った【失敗しない転職】を実現していただけると嬉しいです!

薬剤師の転職サイト4選|評判・求人特徴とエージェントの質を比較

続きを見る

コロナ渦で改定しました。



薬剤師の勉強・情報収集に役に立つサイト・ブログ8選【無料】
  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

プロフィール・運営者詳細
お問い合わせ・仕事の依頼
私の勉強法紹介

TwitterとFacebookでも配信中!インスタはくるみぱん氏とコラボ配信!

-8.感染症
-, ,

Copyright© 新薬情報オンライン , 2020 All Rights Reserved.