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イストダックス(ロミデプシン)の作用機序【末梢性T細胞リンパ腫】

厚労省は2017年7月3日、「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品イストダックス点滴静注用10mg(一般名:ロミデプシン)を承認したと発表がありました!

本日は末梢性T細胞リンパ腫とイストダックス(ロミデプシン)の作用機序についてご紹介いたします☆

 

末梢性T細胞リンパ腫

末梢性T細胞リンパ腫(“PTCL”と略されます)は、血液腫瘍の一種ですが、あまり聞きなれない疾患かもしれません。

血液中にはご存知の通り、「白血球」と呼ばれる細胞が存在し、主に免疫を司っていますが、大きく“顆粒球”と“リンパ球”に分類されます。

 

顆粒球は、「好中球」、「好酸球」、「好塩基球」の3つの総称です。

 

また、リンパ球は、「T細胞」、「B細胞」、「NK細胞」の3つの総称です。

 

本日ご紹介するPTCLは、血球細胞の中でも「リンパ球のT細胞」が異常増殖することで発症する疾患です。

 

症状としては、リンパ節の腫れやしこり、発熱、大量の寝汗、体重減少などがみられることがあります。

 

基本的な治療は抗がん剤の多剤併用による化学療法で、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの4種類の薬剤を用いるCHOP(“チョップ”と読みます)療法が一般的に行われています。

このCHOP療法で腫瘍細胞が消えた(完全奏効)場合、治療は終了で、以後は経過観察のみです。

 

ただし、CHOP療法で治療効果が認められなかった難治性の場合、または完全奏効後に再発した場合には、次に使用できる薬剤は限られていました。

 

本日ご紹介するイストダックスは、上記のような再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に使用できる薬剤です!

 

イストダックス(一般名:ロミデプシン)の作用機序

生体内のDNAは“ヒストン”と呼ばれる柱のようなものに巻き付いて存在(凝集)していますが、このままでは遺伝情報を読むことができません。

 

そこで一旦、ヒストンからDNAを剥がす(緩める)必要があります。

 

このDNAを剥がす(ヒストンを緩める)のに必要な酵素が「ヒストンアセチル化酵素」です。

ヒストンが緩んだ状態では、遺伝子の転写が活性化し、様々な遺伝子発現が促進されます。

 

一方、緩んだままでは遺伝子発現が活性化したままのため、また元の凝集した状態に戻す必要があります。

 

ここに関与する酵素が「HDAC(ヒストン脱アセチル化酵素):“エイチダック”と読みます」です。

 

HDACによって元の凝集した状態に戻ることができます。

 

 

通常、体内にはがんを抑制する遺伝子(がん抑制遺伝子)が存在していますが、がん細胞はHDACを過剰に発現することで、がん抑制遺伝子の発現を抑制していると考えられています。

 

本日ご紹介するイストダックスは、HDACを阻害することで、ヒストンを緩めてがん抑制遺伝子の発現を促進し、がん細胞の増殖抑制、がん細胞のアポトーシス(自然死)促進といった作用機序を有する薬剤です!

イストダックス(一般名:ロミデプシン)の薬価収載

収載時(2018年4月18日)の薬価は以下の通りです。

  • 1瓶 109,753円

 

類薬とあとがき

HDAC阻害剤は多発性骨髄腫等で既に販売(例:パノビノスタット)されていますが、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)に対しては初めての承認です☆

 

また、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)に対しては、同時期にジフォルタ注射液20mg(一般名:プララトレキサート)が承認されています!

 

患者さんにとっては選択肢が増えたことは朗報ではないでしょうか^^

 

以上、本日は末梢性T細胞リンパ腫とイストダックスについてご紹介いたしました♪

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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