5.内分泌・骨・代謝系

パルモディア(ペマフィブラート)の作用機序と副作用【高脂血症】

高脂血症(家族性を含む)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品のパルモディア錠0.1mg(一般名:ペマフィブラート)2017年7月3日に承認されました!

製薬会社

  • 製造販売元:興和(株)
  • 販売元:興和創薬(株)

 

本日は高脂血症とパルモディア(ペマフィブラート)の作用機序についてご紹介いたします。

 

高脂血症(脂質異常症)とは

高脂血症は、現在では「脂質異常症」と呼ばれている疾患です。

 

厚生労働省の「平成26年(2014)患者調査の概況」によると、脂質異常症の患者さんの総数は206万2000人と推計されており、その数は年々増えているようです。

やはり、その理由として食生活の欧米化、運動不足などが関与していると考えられます。

 

このような脂質異常症に関連する生体内の脂質には以下の3つの種類があります。

 

  1. LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
  2. 中性脂肪(トリグリセライド)
  3. HDLコレステロール(善玉コレステロール)

 

脂質異常症とは、

  • LDLコレステロール、もしくは中性脂肪が基準値以上に増えた場合

または、

  • HDLコレステロールが基準値未満に減った場合

に診断されます。

 

高脂血症(脂質異常症)の治療

高脂血症(脂質異常症)の治療は、

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法
    です。

高脂血症は多くの場合、食事や運動などの生活習慣が大きく関係しています。

従って、治療の基本は食事療法と運動療法で、長期的に継続する必要があります。

 

食事療法と運動療法で脂質が改善しない場合、もしくは緊急を要する場合(心筋梗塞、脳梗塞)には薬物療法を行います。

 

パルモディア(一般名:ペマフィブラート)の作用機序

本日ご紹介するパルモディア錠は“フィブラート系”と呼ばれる脂質異常症治療薬で、特に中性脂肪を減らす作用を有する薬剤です☆

 

それではここから、中性脂肪(トリグリセライド)の合成と分解についてご紹介します♪

 

肝臓では、遊離脂肪酸から中性脂肪が合成され血中に放出されています。

また、血中の中性脂肪は、“LPL(リポ蛋白リパーゼ)”と呼ばれる酵素の働きにより、遊離脂肪酸へと分解されます。

その後、分解された遊離脂肪酸は各組織に存在する細胞へと取り込まれていきます。

 

このような中性脂肪の合成や分解に関与しているタンパク質として「PPAR(ペルオキシソーム増殖剤活性化レセプター)α」が知られています。

 

PPARαは以下の作用によって血中の中性脂肪を減らす作用を有しています。

  1. 肝臓での中性脂肪の合成抑制
  2. 血中のLPL合成促進による中性脂肪の分解促進

 

フィブラート系の薬剤は、「PPARα」に結合してPPARαの働きを活性化することで、血中の中性脂肪を低下させる働きがあります!

即ち、フィブラート系薬剤は、「肝臓での中性脂肪合成抑制」と「LPL合成促進による中性脂肪を分解といった作用機序によって中性脂肪を低下させる薬剤です!

 

類薬との違い

既にフィブラート系薬剤は、以下の薬剤等が販売されています。

  • リポクリン錠(一般名:クリノフィブラート)
  • ベザリップ錠(一般名:ベザフィブラート)
  • トライコア錠/リピディル錠(一般名:フェノフィブラート)

 

パルモディアは既存のフィブラート系と比較して、PPARαに対してより選択的かつより強力に作用するようです。

 

そのため、パルモディアは肝臓の脂質代謝に関わる遺伝子群の発現を選択的に調節する作用も有しており、HDLコレステロール(善玉コレステロール)」の増加作用もあるようです。

 

この特徴からパルモディアは「選択的PPARαモジュレーター(Selective PPAR-α Modulator[SPPARMα])」とも呼ばれています!

※SPPARMαは「スパームアルファ」と読むようです。

 

エビデンス紹介(国内第Ⅲ相試験)

根拠となった臨床試験はいくつかありますが、パルモディアとトライコア/リピディル(一般名:フェノフィブラート)を直接比較した国内第Ⅲ相試験をご紹介します。1)

本試験は、中性脂肪高値かつHDLコレステロール低値の脂質異常症患者さんを対象に、パルモディア(0.2mg/日 or 0.4mg/日)を1日2回投与する群と、フェノフィブラート106.6mg/日を1日1回投与する群を直接比較した試験です。なお、両薬剤の投与期間は24週間とされました。

 

本試験の主要評価項目は「中性脂肪のベースラインからの変化率」で、フェノフィブラートに対するパルモディアの非劣性を検証しました。

なお、非劣性が確認された場合、優越性も検証することとされています。

試験群パルモディア
0.2mg
パルモディア
0.4mg
フェノフィブラート
106.6mg
中性脂肪の
ベースラインからの変化率
-46.2%-45.9%-39.7%
 フェノフィブラートとの差-6.5%-6.2%-
 フェノフィブラートとの非劣性証明証明-
 フェノフィブラートとの優越性証明
(p<0.05)
証明
(p<0.05)
-
24週時点のHDL-Cのベースラインからの変化率22.3%17.4%17.6%
 フェノフィブラートとの優越性p=0.078p=0.979-
24週時点のnon-HDL-Cのベースラインからの変化率-11.1%-8.1%-11.4
 フェノフィブラートとの優越性p=0.582p=0.149-

 

中性脂肪はトライコアと比較して有意にベースラインから減少していましたが、HDL-Cの変化量には差はありませんでした。

パルモディアとトライコアを使い分ける上で参考になる臨床試験だと思われます。

 

パルモディア錠の用法・用量と注意事項

服用方法は、1回0.1mgを1日2回朝夕に経口投与して用います。

トライコア錠/リピディル錠は1日1回ですので、少し服用が煩雑かもしれません。

 

他のフィブラート系薬剤と同様、アトルバスタチン等のHMG-CoA還元酵素阻害薬との併用は横紋筋融解症のリスクが増加するため、「原則禁忌」に該当していました。

 

しかし、2018年10月16日に厚労省より「使用上の注意の改訂指示」がなされ、上記の原則禁忌が解除されました!

 

パルモディアの添付文書の[重要な基本的注意]の項に、

腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に、本剤とHMG-CoA還元酵素阻害薬を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。
やむを得ず併用する場合には、本剤を少量から投与開始するとともに、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。

と記載されています。

 

パルモディア錠の副作用

主な副作用として、胆石症、糖尿病、CK(CPK)上昇、等が報告されています。

稀に横紋筋融解症が発現する可能性もありますので、注意が必要です。

 

パルモディア錠の薬価

収載時(2018年5月22日)の薬価は以下の予定です。

  • 0.1mg 1錠 33.90円

 

なお、薬価に対して以下の不服意見が出されており、有用性加算(Ⅱ)の適用を希望されていましたが、残念ながら却下されています。

  1. フェノフィブラートが禁忌である「肝障害のある患者」に対して本剤は使用可能である。
    ⇒回答:ベザフィブラートは「肝障害のある患者」への投与は禁忌となっていない。
  2. 腎障害やスタチンで治療中の患者に対して、安全に使用しやすい画期的新薬として国内外の学会等で評価されている。
    ⇒回答:審査報告書において、臨床試験結果等から本剤は既存のフィブラート系薬剤と同等の臨床的位置付けである。

 

薬価の算定方法については以下の記事をご参照ください。

>>【新薬:薬価収載】13製品(2018年5月22日)

 

あとがき

パルモディアは異例の3度の薬価収載見送りでしたが、4度目でようやく収載されました(承認から約10か月です)。

今後はフィブラート系薬剤の使い分け等が検討されれば興味深いと思います。

 

<2018.6.25追記>

フィブラート系薬剤の一覧をまとめた記事を公開しましたので、是非ご覧くださいませ。

 

以上、本日は新規フィブラート系薬剤のパルモディア錠をご紹介いたしました!

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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