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オルミエント(バリシチニブ)の作用機序と副作用【関節リウマチ】

更新日:

既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品のオルミエント錠2mg、同4mg(一般名:バリシチニブ)が2017年7月3日に承認されました!

製薬会社

  • 製造販売元:日本イーライリリー(株)

 

本日は関節リウマチとオルミエント(バリシチニブ)の作用機序についてご紹介します☆

 

関節リウマチとは

一般に、骨や関節、筋肉などが全身的な炎症を伴って侵される病気を総称して「リウマチ性疾患」といいます。

このうち、関節に炎症が続いて、関節が徐々に破壊され、やがて機能障害を起こす疾患のことを「関節リウマチ」と呼んでいます。

関節リウマチの特徴的な症状は「関節の腫れ」で、最も発現しやすい部位は、手首手足の指の関節です。

また、関節リウマチの症状は「対称性」といって、左右両側の関節に発現することが多いのが特徴です。

 

関節リウマチの原因

関節リウマチの明確な発症原因は不明確ですが、

  • 遺伝的素因
  • 環境要因(ストレス、食生活、肥満等)

などによって、免疫機能が異常になることで発症すると考えられています。

 

免疫系が異常に活動する結果として、関節滑膜組織にリンパ球、マクロファージなどの白血球がでてきます。

このリンパ球やマクロファージが産生するサイトカイン(TNFα、IL-6など)と呼ばれる物質の作用により関節内に炎症反応が引き起こされると考えられています。

 

特に、IL-6は関節リウマチ患者の血清中および滑液中に最も多く認められるサイトカインで、IL-6のレベルは疾患活動性および関節破壊と相関すると言われています。

 

関節リウマチの治療

治療には通常、
痛みを抑えるNSAIDsや炎症を抑えるステロイド抗リウマチ薬(DMARD:“ディーマード”と読みます)が使用されます。

これらの薬剤を使用しても進行が抑えられない場合、生物化学的製剤や今回ご紹介するオルミエントが使用されます。

 

生物学的製剤は細胞の外で作用するのに対し、オルミエントは細胞の中(細胞内)で作用する薬剤です。

生物学的製剤についてはまとめ記事をご参考ください。

 

オルミエント(一般名:バリシチニブ)の作用機序

炎症性サイトカインであるTNFαやIL-6、IL-2等が炎症を引き起こす際、それらが各受容体に結合して刺激が核に伝えられます。

各受容体には「ヤヌスキナーゼ(JAK:“ジャック”)」と呼ばれるタンパク質が付随していて、JAKを介してシグナルが核へと届けられます。

核内に刺激が到達すると、炎症反応が引き起こされ、関節リウマチが進行してしまいます。

 

オルミエントは各受容体の細胞内に存在しているJAKを選択的に阻害する薬剤です。

JAKを阻害することで、TNFαやIL-6による刺激が核に伝わるのを遮断して炎症を抑え、関節リウマチの進行を抑制すると考えられています。

 

オルミエント(一般名:バリシチニブ)の副作用

主な副作用として、上気道感染、帯状疱疹、LDLコレステロール上昇などが報告されています。

特に結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染などの重篤な感染症が発現する可能性もあるため、特に注意が必要です。

 

オルミエント(一般名:バリシチニブ)の薬価

収載時(2017年8月30日時点)の薬価は以下の通りです。

  • 2mg1錠 2694.60円
  • 4mg1錠 5223.00円

 

オルミエントとヒュミラの直接比較試験

オルミエントと生物学的製剤のヒュミラ(一般名:アダリムマブ)を直接比較した第Ⅲ相臨床試験を紹介します。1)

本試験はメトトレキサートによる基礎療法を受けている活動性関節リウマチ患者さんを対象に、プラセボ投与群、オルミエント投与群、ヒュミラ投与群を直接比較した臨床試験です。

 

主要評価項目はプラセボ群とオルミエント群の「12週時点でのACR20改善割合*」の比較でした。

プラセボ群オルミエント群ヒュミラ群
12週時点での
ACR20改善割合
40%70%61%
オルミエントとの比較;
p<0.001
オルミエントとの比較;
p=0.01
12週時点での
DAS28-CRP
-0.98-2.24-1.95
オルミエントとの比較;
p<0.001
オルミエントとの比較;
p<0.001

*米国リウマチ学会の関節リウマチの診断基準で、20%以上改善した割合
†ヨーロッパリウマチ連盟が推奨している関節リウマチの活動性の評価法のうち、C反応性蛋白(CRP)を評価しているもの

 

このように、ACR20もDAS28-CRPもオルミエントは、プラセボやヒュミラと比較して有意に改善していることが示されました!

今後、生物学的製剤との使い分けを考える際に重要な臨床試験だと思われます。

 

類薬(ゼルヤンツ)との違いとあとがき

既にJAK阻害剤としてはゼルヤンツ(一般名:トファシチニブ)が承認・販売されていますが、ゼルヤンツがJAK1とJAK3を阻害するのに対し、オルミエントはJAK1とJAK2を選択的に阻害します。

サイトカイン関与するJAK
IL-2、IL-4、IL-7、
IL-9、IL-15
JAK1、JAK3
IL-6JAK1、JAK2
IFN-αJAK1
IFN-γJAK1、JAK2
G-SCFJAK1、JAK2

 

これらはいずれも経口剤です。

作用機序の違いが有効性や安全性にどう影響するのかは明らかではありませんので、今後の検討が必要かと考えます。

 

以上、本日は関節リウマチとオルミエントについてご紹介いたしました♪

 

生物学的製剤のまとも記事も是非ご覧ください。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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