5.内分泌・骨・代謝系 7.炎症・免疫・アレルギー

オルミエント(バリシチニブ)の作用機序【関節リウマチ・アトピー性皮膚炎】

2020年12月14日オルミエント錠(バリシチニブ)の効能・効果に「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を追加することが承認されました!

日本イーライリリー|ニュースリリース

 

オルミエントJAK阻害薬として2017年7月3日に「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を効能・効果として登場しましたが、今回アトピー性皮膚炎に対して適応拡大されました。

 

木元 貴祥
経口JAK阻害薬として初の適応となりますね!

 

本日は関節リウマチとオルミエント(バリシチニブ)の作用機序についてご紹介します☆

 

関節リウマチとは

一般に、骨や関節、筋肉などが全身的な炎症を伴って侵される病気を総称して「リウマチ性疾患」といいます。

 

このうち、関節に炎症が続いて、関節が徐々に破壊され、やがて機能障害を起こす疾患のことを「関節リウマチ」と呼んでいます。

 

関節リウマチの特徴的な症状は「関節の腫れ」で、最も発現しやすい部位は、手首や手足の指の関節です。

また、関節リウマチの症状は「対称性」といって、左右両側の関節に発現することが多いのが特徴です。

 

木元 貴祥
“関節”と聞くと、関節だけに発症しそうなイメージですが、全身に症状が現れることもあります。

 

全身症状としては、貧血症状、倦怠感(体がだるい)、微熱等があり、これが現れると症状が悪化していくと言われています。1)

 

関節リウマチの原因

関節リウマチの明確な発症原因は不明確ですが、

  • 遺伝的素因
  • 環境要因(ストレス、食生活、肥満等)

などによって、免疫機能が異常になることで発症すると考えられています。

 

免疫系が異常に活動する結果として、関節滑膜組織にリンパ球、マクロファージなどの白血球がでてきます。

このリンパ球やマクロファージが産生するサイトカイン(TNFα、IL-6など)と呼ばれる物質の作用により関節内に炎症反応が引き起こされると考えられています。

 

特に、IL-6は関節リウマチ患者の血清中および滑液中に最も多く認められるサイトカインで、IL-6のレベルは疾患活動性および関節破壊と相関すると言われています。

関節リウマチとIL-6、TNF

 

関節リウマチの治療

治療には通常、痛みを抑えるNSAIDsや炎症を抑えるステロイド抗リウマチ薬(DMARD:“ディーマード”と読みます)が使用されます。2)

これらの薬剤を使用しても進行が抑えられない場合、生物化学的製剤や今回ご紹介するオルミエントが使用されます。

 

生物学的製剤は細胞の外で作用するのに対し、オルミエントは細胞の中(細胞内)で作用する薬剤です。

 

生物学的製剤についてはまとめ記事をご参考ください。

【関節リウマチ】生物学的製剤の作用機序・副作用・特徴のまとめ

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アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られる皮膚の炎症を伴う疾患です。

 

主な症状は「湿疹」と「かゆみ」で、良くなったり悪くなったりを繰り返し、なかなか治らなく、慢性的であるのとが特徴です。

具体的には、赤みがある、じゅくじゅくして引っかくと液体が出てくる、ささくれだって皮がむける、長引くとごわごわ硬くなって盛り上がる、などがあります。

 

部位としては、おでこ、目のまわり、口のまわり、耳のまわり、首、わき、手足の関節の内側などに出やすいとされており、左右対称に発現することもあります。

 

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎は、皮膚症状の状態によって、軽微、軽症、中等症、重症の4段階に分けられており、それぞれによって治療法が異なります。

 

治療の基本は以下の3つがありますが、最も中心となるのは薬物療法です。3)

  1. 薬物療法:ステロイド外用薬を中心とした治療
  2. スキンケア:日頃から皮膚を清潔に保ち、保湿状態を保つ
  3. 原因・悪化因子の除去:炎症の原因となる物質・因子を取り除く

 

ステロイド外用薬は「最強」「とても強い」「強い」「弱め(ミディアム)」「弱い」という5段階がありますが、アトピー性皮膚炎の重症度に応じて、それぞれ使い分けられています。

その他には、かゆみを抑えるために、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を内服したりもします。

 

このような治療を行っても改善が認められないこともしばしばあり、ステロイド薬の内服や免疫抑制薬(シクロスポリン)の内服が行われることもあります。

しかしながら、シクロスポリンには腎臓への悪影響などが懸念されており、長期間使用するのが難しいといった問題点も指摘されていました。

 

最近では新規JAK阻害薬による外用薬コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)も使用可能となりました。

コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎】

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今回ご紹介するオルミエントは、ステロイド外用薬等で改善が認められなかった(効果不十分な)アトピー性皮膚炎に使用できる薬剤です!位置づけとしてデュピクセント皮下注(デュピルマブ)と同じですね。

デュピクセント(デュピルマブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎/気管支喘息/副鼻腔炎】

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オルミエント(バリシチニブ)の作用機序

炎症性サイトカインであるTNFαやIL-6、IL-2等が炎症を引き起こす際、それらが各受容体に結合して刺激が核に伝えられます。

各受容体には「ヤヌスキナーゼ(JAK:“ジャック”)」と呼ばれるタンパク質が付随していて、JAKを介してシグナルが核へと届けられます。

核内に刺激が到達すると、炎症反応が引き起こされ、関節リウマチが進行してしまいます。

 

オルミエントは各受容体の細胞内に存在しているJAKを選択的に阻害する薬剤です。

JAKを阻害することで、TNFαやIL-6による刺激が核に伝わるのを遮断して炎症を抑え、関節リウマチの進行を抑制すると考えられています。

 

副作用

重大な副作用として、

  • 感染症:帯状疱疹(4.0%)、肺炎(1.1%)、ニューモシスティス肺炎(0.1%未満)、敗血症(0.1%未満)、結核(0.1%未満)等
  • 消化管穿孔(頻度不明)
  • 好中球減少(0.1%)、リンパ球減少(0.9%)、ヘモグロビン減少(0.1%)
  • 肝機能障害、黄疸:AST(0.9%)、ALT(1.2%)
  • 間質性肺炎(0.1%)
  • 静脈血栓塞栓症(頻度不明)

が挙げられていますので特に注意が必要です。

 

特に結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染などの重篤な感染症は他の経口JAK阻害薬も同じですね。

 

関節リウマチに使用するJAK阻害薬一覧

関節リウマチに使用するJAK阻害薬の5製品を以下の記事で比較・一覧表を作成していますので、是非ご参考くださいませ。

  • ゼルヤンツ(一般名:トファシチニブ)
  • オルミエント(一般名:バリシチニブ)
  • スマイラフ(一般名:ペフィシチニブ)
  • リンヴォック(一般名:ウパダシチニブ)
  • ジセレカ(一般名:フィルゴチニブ)
ジセレカ(フィルゴチニブ)の作用機序:類薬との違い・比較【関節リウマチ】

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以上、本日は関節リウマチ・アトピー性皮膚炎とオルミエントについてご紹介いたしました♪

 

生物学的製剤のまとも記事も是非ご覧ください。

【関節リウマチ】生物学的製剤の作用機序・副作用・特徴のまとめ

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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