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スチバーガ(レゴラフェニブ)の作用機序と副作用【肝細胞がん】

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2017年6月26日、「がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がん」の効能・効果を追加する新効能医薬品 スチバーガ錠40mg(一般名:レゴラフェニブ水和物)が承認されました!

 

本日は肝細胞がんとスチバーガ錠の作用機序についてご紹介いたします☆

 

肝細胞がんとは

肝臓は成人で800~1200gの重さがある人体最大の臓器です。

主な役割は、栄養分の取り込みや代謝や合成、薬物代謝、有害物質の解毒や排出、などを行っています。

 

肝細胞がんはその名の通り、肝臓から発生する悪性腫瘍(がん)のことです。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれているため、肝臓疾患全般的(肝硬変、肝機能異常、肝炎など)に初期に自覚症状はほとんどありません

これは肝細胞がんも同じで、初期に自覚症状はほとんどありません。

 

肝細胞がんの原因

肝細胞がんの最も重要な原因は「肝炎ウイルスの持続感染」です。

肝炎ウイルスにはA、B、C、D、Eなど色々な種類が存在していますが、肝細胞がんと関係があるのは、C型肝炎ウイルスB型肝炎ウイルスです。

肝細胞がんの約60%がC型肝炎ウイルス約15%がB型肝炎ウイルスの持続感染に起因すると言われています。

従って、肝細胞がんの予防としては、B/C型肝炎ウイルスの感染予防や治療が重要です。

 

C型肝炎ウイルスの治療薬については、近年、続々と新薬が登場しているため、治癒が期待できるようになってきました。

 

肝細胞がんの治療

肝細胞がんの治療には、

  • 外科治療
  • 焼灼療法
  • 肝動脈塞栓療法
  • 薬物療法(化学療法)

などがあり、肝細胞がんの状態やStageによって選択されます。

 

発見時に肝臓以外にも転移がある場合や、再発した肝がんの場合、基本的には薬物療法(化学療法)が行われます。

初回の薬物療法としては、

などがあります。

しかし、初回の薬物療法に抵抗性を示した場合、次の治療選択肢は限られていました。

 

今回ご紹介するスチバーガは、初回の薬物療法に抵抗性を示した患者さんに対して効果が期待されている薬剤です!

 

肝細胞がんの血管新生と増殖機構

がん全般的に言えることですが、がん細胞が大きくなるためには多くの栄養素や酸素が必要となります。

 

そこでがん細胞は、自分のところに血管を無理やり作らせようとし、それに関与する因子として、がん細胞はVEGF(血管内皮細胞増殖因子)ANG-2(アンジオポエチン2)などを放出することが知られています。

これらの因子が、血管のVEGF受容体(VEGFR)TIE-2(“タイツー”と読みます)に結合すると、がん細胞に対して異常な血管が作られ(これを“血管新生”といいます)、この血管を通じてがん細胞は大量の栄養と酸素を得ることができます。

そうすることでがん細胞はどんどんと成長し、他臓器へ転移もしやすくなってしまいます。

 

また、がん細胞の細胞膜にはしばしば

  • KIT
  • RET
  • PDGF受容体(PDGFR)

が存在しています。

これらKITやRET、PDGFRからのシグナル伝達が、がん細胞の核内に到達すると、がん細胞の増殖が活性化されます。

 

スチバーガ(一般名:レゴラフェニブ)の作用機序

スチバーガはVEGFR、TIE-2、KIT、RET、PDGFRなどを特異的に阻害するマルチキナーゼ阻害薬です。

 

がんの血管新生に関与しているVEGFRTIE-2を阻害することで、がんの血管新生が抑制され、がんの成長を抑制することができます。

 

また、がん細胞のKIT、RET、PDGFRを阻害することで、シグナル伝達が阻害され、がんの増殖活性を抑制することができます。

 

この他にも線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)やRAF、BRAF等を阻害する作用も有しています。

 

木元 貴祥
スチバーガは上記のように、がん細胞の増殖に関与する様々な受容体を阻害する作用機序によって、がん細胞の増殖・成長・活性化を抑制します。

 

用法・用量

通常、成人にはレゴラフェニブとして1日1回160mgを食後に3週間連日経口投与し、その後1週間休薬します。

 

副作用

主な副作用として、手足症候群、下痢、高血圧、食欲減退、疲労、などが報告されています。

稀に重篤な肝障害が発現する可能性もありますので、投与中は定期的な肝機能検査が必要です。

 

エビデンス紹介:RESORCE試験

根拠となった臨床試験を一つご紹介します。

本試験はネクサバールに抵抗性を示した転移・再発肝細胞がんの患者さんを対象に、スチバーガとプラセボを直接比較した第Ⅲ相試験です。1)

 

本試験の主要評価項目は「全生存期間」でした。

試験名RESORCE試験
試験群スチバーガプラセボ
全生存期間
中央値
10.6か月7.8か月
HR=0.63, p<0.0001
無増悪生存期間
中央値*
3.1カ月1.5か月
HR=0.46, p<0.0001
奏効率11%4%
p=0.0047

*無増悪生存期間:治療開始からがんが増大(増悪)するまでの期間
†奏効率:がんが30%以上縮小した患者さんの割合

 

上記の結果より、スチバーガによって生存期間の延長効果が示されました。

 

1)RESORCE試験:Lancet. 2017 Jan 7;389(10064):56-66.

 

あとがき

これまで転移・再発肝細胞がんの初回薬物療法(ネクサバール)に抵抗となった場合、その後の治療選択肢は限られていましたので、スチバーガの適応拡大によって選択肢が増えたことは朗報ではないでしょうか。

 

最近では初回薬物療法の治療選択肢にレンビマ(一般名:レンバチニブ)も追加されています。

 

以上、今回は肝細胞がんとスチバーガ(一般名:レゴラフェニブ)の作用機序についてご紹介しました!

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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